著者
青木 彩
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

我々は2010年に埼玉県鳩山町でスタートした鳩山町研究の追跡調査とリンクして加齢黄斑変性(AMD)の有病率について調査を行った。その結果初期AMDが37.9%後期AMDが0.6%に認められることを発表している。又AMDの発症に関連する因子の検討として年齢、性別、全身既往歴、喫煙歴、研究開始時の炎症性血液マーカーとの関連を多変量解析を用いて検討し、又complement factor H (CFH)I62Vとage-related maculopathy susceptibility 2 (ARMS2)A69S遺伝子多型との関連をMantel haenzel法を用いて検討した。その結果CFHI62VとARMS2A69S遺伝子多型とAMDの発症とに有意な関連があることをこれまでに報告している(P=0.029、P=0.025)。又我々は自己式簡易食事歴質問票(BDHQ)を用いこの鳩山町研究コホートと東京大学付属病院黄斑外来に通院している滲出型AMD患者との栄養摂取量の比較を行った、その結果n3不飽和脂肪酸、アルファトコフェノール、亜鉛、ビタミンD、ビタミンC、ベータカロテンといった抗酸化物質の摂取と滲出型AMDの発症とに有意な関連があることを報告している。さらに我々は最近後期AMDとの関連が指摘されているコレステリルエステル転送タンパク(CTEP)遺伝子多型やHCLコレステロールといった脂質代謝と早期AMDとの関連を解析中であり、また上記の結果をふまえ他のコホート(群馬県 草津)でAMDの有病率および発症因子の解析を準備中である。