著者
犬塚 澄雄 山本 浩史 大石 武士 青木 晋平
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.13-17, 1988-03-20

キノコ残渣の養鶏飼料化を図るため,26週齢の産卵鶏(RIR系)を用い,市販の成鶏用配合飼料にシイタケ残渣を8%と12%代替した飼料を給与し,卵質に加えてとくに今までほとんど検討されていなかった血液成分への影響について,市販飼料の結果と比較して,調べた.供試したシイタケ飼料(8%と12%)の一般成分は,市販飼料と比較すると,粗蛋白質と粗脂肪の各含量が低く,粗繊維と粗灰分合量に富んでいることがわかった.体重は減少する傾向が認められ,飼料摂取量は8%代替では市販飼料とあまり差はなかったが,12%代替では有意(P<0.05)に減少した.飲水量は逆に増加した.産卵率は市販飼料に劣らない良い成績が得られ,飼料効率の点ではむしろ優れているようであった.卵重は12%代替で有意(P<0.05)に小さい結果を得た.卵殻厚も同様で薄くなった.ハウユニットには差はなく,卵黄の色調は消費者の嗜好性からみて,実用上で全く問題はないと思われる.血液成分については,T-cho, HDL-cho, TG,およびβ-Lpの各濃度は市販飼料の場合よりも低い価が得られ,とくに12%代替では有意差(P<0.01)が認められ,総体的に脂質の低減効果が認められた.Ca濃度も有意(P<0.05)に減少した.GやMgの濃度はほとんど変化はなかった.シイタケ残渣の代替率は8%と12%の間にその適正値が存在することが推測された.