- 著者
-
青木 留美子
多治見 左近
- 出版者
- 公益社団法人 日本都市計画学会
- 雑誌
- 都市計画論文集 (ISSN:09160647)
- 巻号頁・発行日
- vol.40.3, pp.553-558, 2005-10-25 (Released:2017-07-01)
- 参考文献数
- 7
- 被引用文献数
-
3
高度経済成長期を中心に大量に開発された郊外住宅地の中には、居住者の高齢化問題あるいは空地・空家化等空洞化問題に直面している地域も多い。これらの問題はコミュニティ形成や治安維持に困難を来す可能性がある。非婚・晩婚化によるファミリー世帯の減少や都心回帰現象など郊外型住宅の需要減少が予想される中で郊外住宅地の現状を把握し、今後の動向を探ることは重要である。郊外住宅地の問題構造を解明するためには、各地域特性を把握し全体的系統的な認識をすることが必要である。本稿では大阪府の郊外一戸建て住宅地を対象に、都市の中での各住宅地の位置づけを明確にし、居住者高齢化や空洞化に対する今後の方策を検討するための基礎的資料を得ることを目的として、町丁字別分析を行った。住宅地の性格を特徴づけると考えられた開発時期、立地条件によるグループ化を行い、グループの空地状況と高齢化状況による特性を調べた。結果、開発時期が初期であるほど高齢化率が高くなる傾向があること、高齢化率は居住者の加齢による高齢化と若年層の離脱により急速化すること、初期開発の住宅地のなかでも条件によっては高齢化が抑制されていることが明らかになった