著者
青木 真希子 鈴木 雅登 岡山 久代
出版者
The Society for Nursing Science and Engineering
雑誌
看護理工学会誌 (ISSN:21884323)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.47-57, 2020 (Released:2020-11-30)
参考文献数
40

本研究は,成人女性の性周期に伴うワーキングメモリの変化をPMS症状の有無で比較するとともに影響要因を検討することを目的とした.PMS症状を有する群(n=15)では,黄体期に実施した2-back 課題の正答率が,PMS症状を有さない群(n=26)と比較して有意な傾向で低かった(p=.07).さらにProfile of Mood States の結果,Total Mood Disturbance 得点と「抑うつ−落ち込み」にPMS 有群とPMS 無群で有意な違いが認められた(p=.006, p=.043).一方,Self-rating Depression Scaleと性ホルモン濃度には違いが認められなかった.以上よりワーキングメモリ機能を評価する課題の1つであるn-back 課題の遂行能がPMS症状を有する女性において黄体期に低下し,その要因は負の気分に由来する可能性が示唆された.