著者
龜山 千里 岡山 久代
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.410-416, 2020 (Released:2020-12-10)
参考文献数
18
被引用文献数
1

本研究は,NICU入院児における児童虐待のリスク要因を明らかにすることを目的とした.対象は2013年1月から2016年12月の4年間に当院を退院した児748名とした.退院後の虐待の有無と「児童虐待アセスメント・ツール」のパラメータを後方視的に検討した.児のリスク要因では男児(OR=9.28,95% CI:1.18-72.84),親のリスク要因では多産または間隔の詰まった妊娠(OR=37.89,CI:5.19〜276.81),適切な支援を求めることができない(OR=20.95,CI:1.08-407.66)であった.以上より,この3要因が虐待のリスク要因として検討できる可能性が示唆された.
著者
松野 悟之 岡山 久代 二宮 早苗 内藤 紀代子 森川 茂廣
出版者
看護理工学会
雑誌
看護理工学会誌 (ISSN:21884323)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.43-49, 2016-01-25 (Released:2018-02-28)
参考文献数
22
被引用文献数
2

骨盤底筋トレーニングのための体外式バイオフィードバック装置を用いて女性の骨盤底筋群の機能と腹圧性尿失禁の関連性を検討することを目的とした.147名の女性を対象に骨盤底筋群の最大筋力および収縮持続時間,尿失禁症状,体組成,一般属性を調査し,ロジスティック回帰分析を用いて各因子の腹圧性尿失禁の発症に対するオッズ比を算出した.結果,腹圧性尿失禁の発症に対する有意な要因として,分娩経験(オッズ比:2.694,95%信頼区間:1.058-6.859)および骨盤底筋群の収縮持続時間(0.861,0.777-0.954)が抽出された.今回,収縮持続時間の短縮も抽出されたことから,収縮持続時間に関与すると考えられる骨盤底筋群の遅筋線維が腹圧性尿失禁の防止に重要な役割をもつことが示唆された.骨盤底筋群を強化する際には,収縮持続時間の延長を促すことで腹圧性尿失禁の効果的な改善につながる可能性が示唆された.
著者
青木 真希子 鈴木 雅登 岡山 久代
出版者
The Society for Nursing Science and Engineering
雑誌
看護理工学会誌 (ISSN:21884323)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.47-57, 2020 (Released:2020-11-30)
参考文献数
40

本研究は,成人女性の性周期に伴うワーキングメモリの変化をPMS症状の有無で比較するとともに影響要因を検討することを目的とした.PMS症状を有する群(n=15)では,黄体期に実施した2-back 課題の正答率が,PMS症状を有さない群(n=26)と比較して有意な傾向で低かった(p=.07).さらにProfile of Mood States の結果,Total Mood Disturbance 得点と「抑うつ−落ち込み」にPMS 有群とPMS 無群で有意な違いが認められた(p=.006, p=.043).一方,Self-rating Depression Scaleと性ホルモン濃度には違いが認められなかった.以上よりワーキングメモリ機能を評価する課題の1つであるn-back 課題の遂行能がPMS症状を有する女性において黄体期に低下し,その要因は負の気分に由来する可能性が示唆された.
著者
松野 悟之 岡山 久代 二宮 早苗 内藤 紀代子 森川 茂廣
出版者
看護理工学会
雑誌
看護理工学会誌 (ISSN:21884323)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.43-49, 2016

 骨盤底筋トレーニングのための体外式バイオフィードバック装置を用いて女性の骨盤底筋群の機能と腹圧性尿失禁の関連性を検討することを目的とした.147名の女性を対象に骨盤底筋群の最大筋力および収縮持続時間,尿失禁症状,体組成,一般属性を調査し,ロジスティック回帰分析を用いて各因子の腹圧性尿失禁の発症に対するオッズ比を算出した.結果,腹圧性尿失禁の発症に対する有意な要因として,分娩経験(オッズ比:2.694,95%信頼区間:1.058-6.859)および骨盤底筋群の収縮持続時間(0.861,0.777-0.954)が抽出された.今回,収縮持続時間の短縮も抽出されたことから,収縮持続時間に関与すると考えられる骨盤底筋群の遅筋線維が腹圧性尿失禁の防止に重要な役割をもつことが示唆された.骨盤底筋群を強化する際には,収縮持続時間の延長を促すことで腹圧性尿失禁の効果的な改善につながる可能性が示唆された.
著者
齋藤 祥乃 岡山 久代
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.396-404, 2014-07

本研究の目的は,分娩後の女性において,骨盤ベルト(トコちゃんベルト)着用が子宮復古を促進し,マイナートラブルを減少させることを仮説とし,解剖学的に,また質問紙調査によって検証することである。対象は,正期産で単胎を経膣分娩した分娩後3〜7日目の褥婦とし,骨盤ベルトを着用する介入群30名と非着用の対照群11名に分類した。評価方法は,縦型オープンMRを用いて分娩後1週間, 1か月, 2か月の各時期の内子宮口を撮像し,恥骨尾骨ラインまでの距離を計測した。また,同時期のマイナートラブルの発症数を検討した。結果,内子宮口の位置は,介入群では分娩後1週間から1か月(p<0.01), 1か月から2か月(p<0.05)に有意な下降を認めた。同様に対照群は, 1か月から2か月のみに有意な下降を認めた(p<0.01)。分娩後1か月の時点では,介入群が対照群よりも有意に低くかった(p<0.001)。一方,マイナートラブルは,両群に差がないことが示された。介入群において分娩後1週間から1か月の内子宮口の下降が促進されたことから,分娩後1ヶ月までの子宮復古における骨盤ベルトの有用性が実証された。ただし,マイナートラブルに関しては,効果が検証されなかった。
著者
内藤 紀代子 岡山 久代 遠藤 善裕 森川 茂廣 高橋 里亥
出版者
びわこ学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年、女性の2~5割が腹圧性尿失禁を経験しており、生活の質を低下させている。その要因として妊娠・分娩による骨盤底の損傷等が指摘されている。そこで、本研究に置いて育児中の女性にとって簡便で負担が少なく、腹圧性尿失禁予防・改善効果の高いセルフケアを検証し、さらには、有効性の検証されたセルフケアの指導を行い普及の効果を調査した。結果、腹圧性尿失禁予防に重要な骨盤底筋力を高めるセルフケアは、サポートパンツであり、次いで骨盤底筋体操が有効であることが検証された。また、産後早期にセルフケア指導を行うことにより、指導を受けた対象の7割が長期的にも情報を活用していることが明らかになった。