著者
松原 まなみ 井上 円
出版者
The Society for Nursing Science and Engineering
雑誌
看護理工学会誌 (ISSN:21884323)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.54-62, 2019 (Released:2019-07-31)
参考文献数
22

生後3~4日の正期産の健常新生児を対象に,動画解析ソフトを用いて吸啜時の下顎運動と吸啜波を,直接母乳と人工乳首による哺乳の2群間で比較した.下顎運動の指標として吸啜時における顎関節の①吸啜周期,②開口角,③下顎変位量,および④開口・閉口時の加速度を計測した.2群間の比較は対応のないt検定を用いた.A群(完全母乳栄養児)10名,B群(混合栄養児)14名の吸啜周期に有意差はなかったが,開口角,下顎変位量,開口・閉口時の加速度については,いずれもA群のほうがB群とくらべて有意に大きかった.(p<0.001).また,吸啜波はB群よりA群のほうが大きな振幅を示した.開口角,下顎変位量,開口・閉口時の加速度を含む下顎運動は人工乳首の哺乳より直接母乳のほうが有意に大きかったことから,人工哺乳より母乳のほうが吸啜に対してより大きな運動エネルギーを必要とすることが示唆された.
著者
青木 真希子 鈴木 雅登 岡山 久代
出版者
The Society for Nursing Science and Engineering
雑誌
看護理工学会誌 (ISSN:21884323)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.47-57, 2020 (Released:2020-11-30)
参考文献数
40

本研究は,成人女性の性周期に伴うワーキングメモリの変化をPMS症状の有無で比較するとともに影響要因を検討することを目的とした.PMS症状を有する群(n=15)では,黄体期に実施した2-back 課題の正答率が,PMS症状を有さない群(n=26)と比較して有意な傾向で低かった(p=.07).さらにProfile of Mood States の結果,Total Mood Disturbance 得点と「抑うつ−落ち込み」にPMS 有群とPMS 無群で有意な違いが認められた(p=.006, p=.043).一方,Self-rating Depression Scaleと性ホルモン濃度には違いが認められなかった.以上よりワーキングメモリ機能を評価する課題の1つであるn-back 課題の遂行能がPMS症状を有する女性において黄体期に低下し,その要因は負の気分に由来する可能性が示唆された.