著者
青木 重明
出版者
大東文化大学
雑誌
環境創造 (ISSN:13468758)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.45-65, 2002-10-27

現在、様々な危機を作り出している産業文明を乗り越えるべく新しい文明(エコソフィア文明と仮称)を構想する時、それはトランスパーソナルな経験を中核に考えられるべきである。トランスパーソナルな経験を、新しい文明の経験様式としてみるならば、相互連関性の形式を取り出すことができる。相互連関性には、科学・日常意識に経験される浅い(普通の意味での)相互連関性と、トランスパーソナルに経験される深い相互連関性とがある。ここで問題とする後者は、空間的には、存在者が相互浸透的である事態(とも存在およびポエティックな本質)として、時間的には、全時間がその中にふくまれる瞬間として経験される。時間性の変容によって、自己目的的な活動形式としての遊戯が、自己においても世界においても(世界遊戯)現れる。さらに、深い相互連関性の論理として、「同一性と差異性の相即的成立」を、自己のあり方として相互連関的自己(脱存)を考える。