著者
青柳 恵太郎
出版者
特定非営利活動法人 日本評価学会
雑誌
日本評価研究 (ISSN:13466151)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.1_53-1_62, 2010 (Released:2014-05-21)
参考文献数
17

開発援助分野では2000年代に入った頃からプロジェクトのインパクトを精緻に推計するという取り組みが強化され始めた。その一端としてRCTを用いたインパクト評価の事例も多く蓄積されてきている。こうした動きは主として開発経済学者によって主導されてきているが、RCTが広く用いられるようになるにつれて、長年に亘り評価研究において議論されてきたRCT導入の是非、及び初期の経済学に見られた 「理論なき計測」 に関わる議論が開発援助分野を舞台として再度問われていることが確認できる。他方、RCTが先行している疫学等の分野に比べて制度化が遅れていることが指摘できる。翻って、こうしたRCTの国際的展開の中で日本の取り組みを見ると、積極的とは言いがたいものがあった。しかしながら、近年はRCT を適用することも視野に入れつつ、インパクト評価全般への取り組みが強化され始めている。