著者
青野 浩之 笹野 稔
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.28-37, 2018-03-30 (Released:2018-07-31)
参考文献数
30

関節炎モデルは関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)の病因・病態解析の研究において広範に使用され,潜在的な治療標的の同定や標的の妥当性の検証のために遺伝子改変モデルを用いた研究が進められてきた.特にTNF-αやIL-6を代表とする炎症性サイトカインを阻害する生物学的製剤の登場に関節炎モデルは大きく貢献してきた.一方,RA治療のための新規薬剤開発にコラーゲン関節炎を代表とする様々な動物モデルが汎用されているが,関節炎モデルでの薬剤の効果はRA患者での治療効果と必ずしも一致したものではなく,薬剤の臨床での有効性を予見できるかどうかはモデル系の選択や試験計画に大きく依存する.いずれにしても,動物モデルは,RAにおける疾患のメカニズムの解明および新しい治療法の開発を発展させるために不可欠である.本稿では現在,汎用されている関節炎モデルを紹介するとともに,さらに革新的なRA治療薬を見出すために使われつつある新規動物モデルについても述べる.