著者
山﨑 哲 内藤 澄悦 静 怜子 家子 正裕
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.636-643, 2016 (Released:2016-12-15)
参考文献数
4
被引用文献数
9 1

要約:凝固検査は標準化が遅れている分野であり,とりわけ活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)測定には多くの診断目的が求められることから測定試薬の多様性が認められる.また,ループスアンチコアグラントの検査法である希釈ラッセル蛇毒時間(dRVVT)測定では,従来1 試薬のみが広く使用されてきたが,現在は複数の試薬選択が可能となっている.こうした背景から,APTT およびdRVVT に関する標準化策を模索すべく検討が行われてきた.APTT については,直接的な標準化が難しいと判断されたため,試薬特性を評価/表現する方法の確立を目指し,dRVVT については,試薬差や機種差を是正する方法の確立と,それらに基づいた共通の健常人上限値の設定を目的とした.何れもある程度の成果が期待できる成績が得られており,今後,多くの検証,追加検討により標準化へと進展することが期待される.