著者
加藤 元嗣 上堂 文也 掃本 誠治 家子 正裕 樋口 和秀 村上 和成 藤本 一眞
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.1547-1558, 2017 (Released:2017-07-20)
参考文献数
39
被引用文献数
10

日本消化器内視鏡学会は,抗血栓薬の休薬による血栓塞栓症の誘発に配慮した“抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン”を報告した.その後新しい経口抗凝固薬が用いられるようになり,実臨床ではそれらの対応についての基準が求められていた.そこで,抗凝固薬の新たな知見を加えて,抗凝固薬に関する追補版を作成した.しかし,各ステートメントに関してはエビデンスレベルは不十分なものが多く,今後は臨床現場での追補ガイドラインの検証が必要となる.
著者
家子 正裕
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.149-156, 2014 (Released:2015-07-27)
参考文献数
9
被引用文献数
3

ワルファリンは,細胞性凝固反応の開始期,増幅期,増大期に存在する凝固第VII,IV,X因子およびトロンビンの原料となるプロトロンビンの蛋白量を低下させ,強力な抗凝固効果を発揮する.しかし,出血性副作用も多く,プロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)を頻回に測定し,用量を調節しなくてはならない.ダビガトランは,初期トロンビンおよび増幅期にフィードバックするトロンビンを阻害し,結果的に凝固増幅期を阻害することでトロンビン産生速度を低下させる.活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)で過剰状態をモニタリングできるものの,APTTのトロンビン阻害薬感受性は試薬ごとに大きく異なっているため,標準化が必要である.Xa阻害薬は凝固増大期のプロトロンビナーゼ複合体を阻害し,トロンビン生成速度および産生総量を低下させ,抗凝固効果を発揮する.リバーロキサバンおよびエドキサバンでは,過剰状態をPTでモニタリングできるが,PTのXa阻害薬感受性は試薬ごとに異なるため注意を要する.また,アピキサバンはPTに反応しないことから,今後新たなモニタリング検査の開発が望まれる.一方,抗血栓効果の確認には,Dダイマーや可溶性フィブリンモノマー複合体などの血栓マーカーが,すべての抗凝固薬で有用である.
著者
山﨑 哲 内藤 澄悦 静 怜子 家子 正裕
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.636-643, 2016 (Released:2016-12-15)
参考文献数
4
被引用文献数
9 1

要約:凝固検査は標準化が遅れている分野であり,とりわけ活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)測定には多くの診断目的が求められることから測定試薬の多様性が認められる.また,ループスアンチコアグラントの検査法である希釈ラッセル蛇毒時間(dRVVT)測定では,従来1 試薬のみが広く使用されてきたが,現在は複数の試薬選択が可能となっている.こうした背景から,APTT およびdRVVT に関する標準化策を模索すべく検討が行われてきた.APTT については,直接的な標準化が難しいと判断されたため,試薬特性を評価/表現する方法の確立を目指し,dRVVT については,試薬差や機種差を是正する方法の確立と,それらに基づいた共通の健常人上限値の設定を目的とした.何れもある程度の成果が期待できる成績が得られており,今後,多くの検証,追加検討により標準化へと進展することが期待される.
著者
家子 正裕 高橋 伸彦
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

強力な血栓リスクであるループスアンチコアグラント(LA)の測定方法の標準化を検討した。LA活性は残存血小板数が1,200/μL以上の血漿で有意な変動を示すため、1500 g, 15分間以上の遠心分離を行いバフィーコートより5mm上までを採取した血漿(残存血小板数:3,000/μL未満)が推奨される。一方、APTT試薬のLA感受性は活性化剤に影響されず、リン脂質の種類、濃度、配合比率が重要と思われた。APTT交差混合試験では、患者血漿10, 20%がLAに、50%が内因系凝固因子の欠損症やインヒビターの検出に有用であり、これらの5ポイントによる測定が推奨される。