著者
音成 貴道
出版者
東京歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

顎顔面領域は、硬組織や軟組織、空気等が存在している。この領域に病変が生じた場合には、硬組織である骨を指標として手術を行っている現状がある。硬組織に生じた病変はCTが有用であり、軟組織に生じた病変はMRIが有用である。これらCTとMRIを同時に表示することが可能であれば、硬組織と軟組織に生じた病変はいずれも診断が用意であろうと考えられる。平成18年度には、Fusion画像が用意に作成できるようにシステムの構築を行い、また良好なMRI画像が撮像可能になるように顎骨専用コイルを購入した。平成19年度には、第20回日本顎関節学会総会・学術大会にて、顎関節部に対する解剖構造と血流によるFusion画像を作成し、学会報告を行った。まず、顎関節部を通常の撮像であるプロトン密度強調画像で撮像を行い、解剖構造の確認を行った。さらに、血管の走行を描出するMRアンギオグラフィの撮像を行った。アンギオグラフィにはTOF法とPC法があるが、頭頸部領域では比較的細い血管が多いため、PC法を用いた。プロトン密度強調画像とPC法アンギオグラフィによるFusion画像を作成し、顎関節部の三次元的な血管の走行を観察した。顎関節外側部では、浅側頭動脈が走行しており下顎枝後方から下顎頭外側に走行するのが確認でいた。顎関節内側部では、顎動脈の分枝が横に走行しており、深側頭動脈に分岐する部位も確認できた。これらの画像は三次元的に任意の方向から観察が可能であるが、発表形式から動画での報告となったが、その後の質問では活発な討論がされ、関心の高さが伺われた。顎関節痛などの痛みの評価や、治癒過程においても新たな診断モダリティとなる可能性があると思われ、疼痛等の臨床情報についても今後検討を続けていく。