著者
須佐 宏
出版者
和歌山大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

本研究は「紀伊万葉」に代表されるようなご当地ソングを小学校の歴史学習とも関連づけながら、子どもたちの興味・関心を誘い,古典学習の教材としてどう活かしていくかの研究である。取り上げた歌は、山部赤人が和歌浦の地で読んだ「和歌浦 潮満ち来れば 潟を無み 芦辺をさして田鶴鳴き渡る」の歌。4年生と1年生で実践を試みた。4年生では、教材化にあたって、実際に見たことのある景色を事前にデジタル画像として保存し、子どもたちのつまづきや気づきに合わせて提示できるようにした。また,子どもたちが実際に足を運んで記録してきたデジタルデータも保存できるようにした。また、音声言語として声に出して読むことが児童の古典理解を大きく助けるものだと考え、個々の音読データを記録し、自己の読み声も確かめられるようにもした。1年生では、親子体験プログラムという計画を立て、撮ってきた画像を使った万葉クイズや親子暗記対決などをし、親子で楽しみながら少しずつ身近なものになるよう心がけた。1年生にとって意味理解は難しいが、ことばのリズムとして体得するにはちょうどよく、1年生の子どもであっても、容易にこの歌を覚えて暗唱できるようになった。親子で行った歌会では、1年生が★なみのおと こころにひびき 気もちいい けしきもよくて すてきなじかん(まりん)★かたおなみ みんなできたよ たのしいな あそんでいたら しおがひいたね(たいが)★かたおなみ 大きいうみが ありました こんどはなつに いってみたいよ(こうせい)などの歌を詠むことが出来き、和歌浦を身近に感じると共に、五七五七七のリズムを楽しみながら身につけていく機会を持つことができた。