著者
岡田 和悟 小林 祥泰 青木 耕 須山 信夫 山口 修平
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.318-323, 1998-06-25 (Released:2009-06-05)
参考文献数
25
被引用文献数
41 62

脳卒中患者135名を対象として,意欲低下の評価をApathy Scale(Starkstein)邦訳版である「やる気スコア」を用いて行い,その信頼性,妥当性について検討し,客観的評価法と比較検討した.スコアの信頼性は,ρ=0.963,p<0.0001(n=20)と良好であり,問診方式と自己記入式との相関も良好であった.意欲低下の有無の判定とスコアの得点の検討から,カットオフ値を16点とした場合,最も良好な感度(81.3%)および特異度(85.3%)が得られた.客観的評価法(SKETCH)と比較して,スコアの識別能は,意欲低下,感情障害とも80.0%程度を示し,障害程度に比例して有意に高値であった.結語:「やる気スコア」による意欲低下の評価は,臨床評価として使用しうると考えられた.また軽度以上の障害を示す例において有用であると考えられた.