著者
池川 充洋 大島 暁 須藤 久美子 倉智 恵美子
出版者
看護理工学会
雑誌
看護理工学会誌 (ISSN:21884323)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.80-85, 2018-01-25 (Released:2018-01-31)
参考文献数
15
被引用文献数
2

製造における生産方式であるセル生産方式にヒントを得て,看護提供方式に展開し業務改善を具体化した事例を取り上げる.セル生産方式はベルトコンベアで多数の工員が細分化した単純作業を行うライン生産方式と異なり,1人,もしくは小集団にて製品組み立てから検査までの工程すべてを受け持つ.セル看護提供方式では日単位に勤務看護師に対し担当病室を割り振り,担当病室における患者に対するすべての業務を受け持つ.加えてスタッフステーションを起点とした情報収集・共有,カンファレンスなどの従来型の業務運用ではなく,病室・病室前の廊下を起点とした業務運用を基本としている.結果,患者の気配を察し,先取りケア実践が実現され,ナースコール呼出回数の減少を,さらに看護師のスタッフステーションに情報収集,物品を取りに戻るなどの業務動線の短縮を狙っている.当調査では位置検知システムの利用により把握可能な看護師従事場所情報を利用しセル方式導入効果を整理した.