著者
須藤 敦史 児玉 文 阿部 和正
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_202-I_210, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
15

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震において仙台市内の丘陵地に造成された住宅地で地盤被災が数多く発生した.さらに 2016年4月14日の熊本地震でも盛土の造成宅地に多くの被害が生じている.これら造成宅地の地震被害は,急傾斜地だけではなく緩やかな基盤や地盤構造の造成宅地でも数多く発生している.しかし,住宅地の購入者がこれらを検討・確認することはほとんどなく,地震被害を受けて初めて基盤・地盤情報の重要性を意識することが一般的である.そこで本研究は,東北地方太平洋沖地震において仙台市内で基盤・地盤構造の違いにより造成宅地の建物損壊度が異なることを地理情報システム(Geographic Information System : GIS)により示し,建物の建築年代や宅地造成前の基盤・地盤特性情報の重要性を示している.次に,地震リスクマネージメントや地震被害想定では被害の発生予測精度が重要であるため,兵庫県南部地震における水道管の損傷調査結果より地盤性状による地震時の損傷度曲線(Seismic Fragility Curve : SFC)を求めている.さらに,仙台地域における造成宅地の地震被災リスクを定量的に算出し,造成宅地おける地震リスクを考慮した評価法の基礎考察も行っている.