著者
飛弾野 哲宏
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1974, no.11, pp.2156-2162, 1974-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
6

D-グルコースにはα型とβ型の光学異性体が存在するbD-グルコースは結晶中ではα型として安定である。それを水に溶解すると溶けたα-D-グルコースの-部が変旋光をしてβ-D-グルコースへ転化してゆく。グルコースのこのような性質は,結晶グルコースの溶解速度に関して興味ある現象を示す。本研,究では,その溶解機構を速度論的に考察し,変旋光速度定数との関係,および速度を表わすに必要なパラメーターを明らかにした。そしてα-D-ンルコース飽湘後のD-グルコースの溶解遠度理論式を導いた。この式からいままで測定されていなかったα-D-グルコースの溶解度が明確にされた。理論式の正当性は結晶グルコースの溶解実験によって確かめた。またα-D-グルコースの溶解度も溶解実験によって求めた。考察の結果得られた理論式をつぎに示す。Tゼ時間fにおける全D-グルコース濃度,κ:直線化した相互溶解度曲線の勾配,β。;平衡点におけるβ。D7グルコースの溶解度,ゐ:年方向の変旋光速廉定数,海:潭方薗の変旋光速度定凱う:直線でヒした相互溶解度曲線の切片。