- 著者
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飫冨 順久
- 出版者
- 日本マネジメント学会
- 雑誌
- 日本経営教育学会全国研究大会研究報告集
- 巻号頁・発行日
- no.39, pp.103-105, 1999-06-25
近年、わが国では企業倫理に関する研究がさまざまな視点から進められ、多数の研究報告がなされている。また、経団連が企業行動憲章を公表し、多くの企業が特徴ある行規準動を策定している。しかしながら、バブル崩壊後の不祥事は、主として優良企業といわれている企業であったり、行政からの指導と監督が厳しく他の産業と比較して厳格な企業行動をとっていると思われている金融・・証券業界などに反倫理的行動が集中しているように思われる。本報告では、企業倫理と企業の社会責任の関係について、理論と実践の側面から論じてみてみたい。この点については、すでに〓田馨教授が主として「経営の倫理と責任」(1989年千倉書房)で理論的に整理され独自の見解を論じておられる。ここでは、〓田見解について、報告者の若干の私見を述べさせて頂き、繰り返し起こる企業の反倫理的行動に対し批判的検討を行いたい。また、マルチドメスティクやトランスナショナルと呼ばれる企業が増大してきているように、各国の企業行動は、国籍を越え世界規模になりつつある。したがって、今日グローバル・スタンダード経営、世界標準の経営または、共通競争ルールの策定が問題視されてきている。企業倫理のグローバル・スタンダードの重要性とその策定条件について論じてみたい。その場合、各国の企業倫理は、風俗・習慣・文化・宗教など価値観にもとづき、合意形成されてきており、異質性の高いこれらを考慮すると、必ずしも一致・共通するとは考えにくい。ここでは、ホフステット(G.Hofstede)の理論を検討し、共通性を求めてみたい。最後に、企業倫理のグローバルスタンダード策定の方向を提示しむすびとしたい。