著者
伊藤 均 久米 民和 武久 正昭 飯塚 廣
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1081-1087, 1981 (Released:2008-11-21)
参考文献数
20
被引用文献数
6 3

各種配合飼料中の微生物分布と放射線殺菌効果について検討し次の結果を得た. (1) 粉末状飼料中の総菌数は1g当り5.3×104~2.2×106個,大腸菌群は5.1×103~6.8×105個,一般糸状菌は2.1×103~4.5×105個,好浸透圧性糸状菌は9.6×102~3.5×105個検出された. (2) ペレット状飼料中の総菌数は5.3×103~1.0×106個,大腸菌群は0~2.3×103個であり,ペレット加工後に汚染したと思われる糸状菌0~1.6×103個が検出された. (3) 飼料中の総菌数は主にBacillus, Micrococcus, Enterobacter, Klebsiellaで構成されており, StaphylococcusやPseudomonasも若干検出された.大腸菌群は主にEnterobacterとKlebsiellaで構成されており, Escherichia coliは全菌数の1%以下しか検出されなかった.しかし市販飼料の一部にはE. coliが1%近く検出されるものもあった. (4) 飼料中の一般糸状菌は主にFusarium, Cladosporium, Rhizopusで構成されており,好浸透圧性糸状菌はAspergillus glaucus群と A. gracilis, A. candidusが多く検出され, A. versicolorも若干検出された. (5) 放射線照射により飼料中の総菌数は0.5 Mradで101~103個まで減少したが,飼料によってはPseudomonas marginataなどが生残していた.大腸菌群は0.5~0.8 Mradで殺菌でき,貯蔵中の飼料変敗に関与すると思われる好浸透圧性糸状菌は0.2 Mradで著しく菌数が減少した. したがって飼料の菌数低減化および屎尿由来大腸菌群の殺菌を目的とする場合は0.5 Mradの線量が必要で,糸状菌変敗の防止には0.2 Mrad以上の照射が必要と思われる.