著者
飯島 婦佐子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.50-64, 1997-10-09 (Released:2017-07-24)

本研究の目的は, 父親の性役割観, 母親からみた父親のソーシャルサポート, 母性意識と幼児の自己(自己抑制, 自己主張・実現)の発達の関係をみることである. 東京の304名の両親が参加した. 方法は質問紙法を用いた. 自己尺度は保育者によって評定された. 女子の場合には, 父親が家事・育児に参加するようになり, 性役割分業観も変化していることを反映して, 家事・育児共有観が実質的サポートを高め, それが専業主婦の母親の母性の受容を高めた. しかし, 母性の受容と子どもの自己の発達の間には何らの関係もなかった. ここに, 何らかの媒介変数を考慮する必要がある. 男子の場合には, 父親の家事・育児への参加の考えは母親の母性の受容を低下した. 別のモデルを考えるべきである.