著者
飯島 沙幸 田中 靖人
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.23-32, 2013-06-25 (Released:2014-04-26)
参考文献数
46

B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus; HBV)は現在も世界的な感染拡大が続いており,依然として大きな問題となっている.Australia抗原が発見されて以来,臨床医学・疫学など様々な方法で研究が続けられてきたが,HBVは感染宿主域が狭く,in vitro, in vivo共に簡便で効率の良い感染実験系が現在に至るまで確立されていない.そのため逆遺伝学:リバースジェネティクスの手法が果たしてきた役割も大きい.我々はB型慢性肝疾患患者から様々な遺伝子型のHBVクローンを樹立し,リバースジェネティクス手法を用いて解析を行ってきた.それらの結果からHBVの病態と遺伝子型の関連性がどのようなものか徐々に明らかになってきた.本稿では我々がHBVについてリバースジェネティクスを用いて解析してきた研究内容について紹介したい.