著者
飯村 慈朗 今野 渉 小泉 さおり 安村 佐都紀 浅井 正嗣 平林 秀樹 春名 眞一
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.111, no.11, pp.701-704, 2008 (Released:2010-02-25)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

サルコイドーシスは, 病理組織学的検査所見から命名された原因不明の多臓器肉芽腫性疾患である. 今回われわれは診断に至るまでに3回の生検を要し, 最終的に喉頭サルコイドーシスと診断した症例を経験したため報告する.サルコイドーシスが喉頭病変のみの場合には検査所見は正常なことが多く, 病理組織学的所見で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の確認が重要となる. 1回目, 2回目の喉頭生検では非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が認められなかったが, 3回目の生検にて非乾酪性類上皮細胞肉芽腫と巨細胞を認めた. 全身検索を施行し最終的に喉頭サルコイドーシスと診断した.喉頭所見として黄白色のびまん性腫脹病変を認める場合, 喉頭サルコイドーシスの存在も念頭に置く必要があると考える.
著者
飯村 慈朗
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.120, no.12, pp.1424-1432, 2017-12-20 (Released:2018-01-12)
参考文献数
22
被引用文献数
6

鼻閉の改善のためには, その原因や病態を的確に捉えたうえで鼻腔形態の矯正を行うことが重要である. 鼻中隔弯曲症は鼻閉を来す代表的な疾患であり, 鼻中隔矯正術を施行するためには, 鼻中隔の解剖や鼻中隔弯曲症の成因についての詳細な理解が必要である. 術式選択には, どこまでの範囲が鼻閉の原因となっているのか, その病態はどうして生じたのか, どのようにして矯正すれば良いか, の判断が求められる. 適切な術式選択がされず軟骨および骨を過剰切除したために, 鞍鼻, 鼻尖下垂という術後合併症が報告されている. 術式決定は, 鼻中隔の形態のみから判断するのではなく, 鼻腔形態・外鼻変形なども考慮し, 鼻中隔と外鼻を立体的な一つの構造物と考え矯正するべきである. 温存しなければならない部位の矯正術は, 鼻中隔切除術ではなく再建も行う形成術となる. 本邦において hemitransfixion アプローチによる前弯矯正術や外切開による鼻中隔外鼻形成術 (open septorhinoplasty) は, 耳鼻咽喉科医にとってまだ経験の浅い術式である. 今後, 耳鼻咽喉科医の発展のために, 前弯矯正術・鼻中隔外鼻形成術は必要な手術手技と考える.
著者
飯村 慈朗 蒲 伸泰 平林 秀樹 春名 眞一
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.404-409, 2007-12-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
17
被引用文献数
2

後部副鼻腔 (後篩骨洞と蝶形骨洞) 嚢胞による視器障害を起こし, 緊急手術を施行した6症例について報告した。症例1~3は視力障害を起こしており, 症例4~6は視力障害を伴わず視器障害は外眼筋麻痺のみであった。視力障害を起こした3症例のうち, 発症から手術までの期間 (罹患期間) が24時問以内であった1症例の視力は完治した。しかし, 罹患期間1ヵ月以上であった他2症例の視力は軽度改善するも完治とはならなかった。そして外眼筋麻痺のみを起こした3症例は罹患期間にかかわらずすべて完治した。今回われわれは, 後部副鼻腔嚢胞による視器障害の予後・緊急性の有無について検討をし, 視神経障害と比較して外眼筋麻痺のみの障害の場合は緊急性が低いと考えた。