- 著者
-
飯村 慈朗
- 出版者
- 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
- 雑誌
- 日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
- 巻号頁・発行日
- vol.120, no.12, pp.1424-1432, 2017-12-20 (Released:2018-01-12)
- 参考文献数
- 22
- 被引用文献数
-
6
鼻閉の改善のためには, その原因や病態を的確に捉えたうえで鼻腔形態の矯正を行うことが重要である. 鼻中隔弯曲症は鼻閉を来す代表的な疾患であり, 鼻中隔矯正術を施行するためには, 鼻中隔の解剖や鼻中隔弯曲症の成因についての詳細な理解が必要である. 術式選択には, どこまでの範囲が鼻閉の原因となっているのか, その病態はどうして生じたのか, どのようにして矯正すれば良いか, の判断が求められる. 適切な術式選択がされず軟骨および骨を過剰切除したために, 鞍鼻, 鼻尖下垂という術後合併症が報告されている. 術式決定は, 鼻中隔の形態のみから判断するのではなく, 鼻腔形態・外鼻変形なども考慮し, 鼻中隔と外鼻を立体的な一つの構造物と考え矯正するべきである. 温存しなければならない部位の矯正術は, 鼻中隔切除術ではなく再建も行う形成術となる. 本邦において hemitransfixion アプローチによる前弯矯正術や外切開による鼻中隔外鼻形成術 (open septorhinoplasty) は, 耳鼻咽喉科医にとってまだ経験の浅い術式である. 今後, 耳鼻咽喉科医の発展のために, 前弯矯正術・鼻中隔外鼻形成術は必要な手術手技と考える.