- 著者
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飯田 俊穂
熊谷 一宏
- 出版者
- 日本バイオフィードバック学会
- 雑誌
- バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, pp.44-52, 2000-03-31
- 被引用文献数
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高血圧の治療目的は, 高血圧による臓器障害の予防と患者のQua1ityofLife(QOL)の向上にあると言われている.また, 医療環境における随時血圧は高血圧の範疇に入るにもかかわらず, 家庭など非医療環境下で正常血圧である一群は白衣高血圧として広くその概念が知られている.第6次米国高血圧合同委員会報告(1997)では, 非薬物療法の一つとして精神緊張緩和療法[リラクセーションまたはバイオフィードバック療法(BF療法)]を取り上げている.そこで今回, 心因の関与の立場から臓器障害を認めない白衣高血圧にBF療法を導入し, 7年以上長期観察することで臓器障害の予防・QOLの向上にBF療法が効果があるかどうかを検討した.BF療法を20回以上施行した72例のうち7年以上長期観察し得た37例を対象に臓器障害の出現の有無で2群に分け比較した.4年時までは両群とも外来時血圧, 血中カテコラミン値(CA)の有意の低下, 愁訴の改善を認めBF療法は有効であった.しかし, 7年時において臓器障害の出現した群は, 外来時血圧, 不安尺度, CA値の上昇を認めた.白衣高血圧の長期予後からみたBF療法導入の適応は, 愁訴を多く認め, 不安尺度が高値で, α波の基本出現率が50%以上の高値例には積極的に考慮でき, 効果判定には, 外来時血圧の低下だけでなくα波出現率(随意制御)やα波出現の予想的中率(弁別)も加える必要が示された.経過観察には, 外来時血圧, CA値, 不安尺度, α波出現率・予想的中率の推移をみることが示された.