著者
政宗 貞男 押山 宏 飯田 素身
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

絶縁ギャップを有する金属放電管の内面を利用した新しい静電的ヘリシティー入射法の可能性を探るために、STE-2装置においてRFPおよびULQプラズマを用いて基礎実験を行い、以下の結果を得た。結果(3)は、この方法の有効性を示唆している。(1)非円形断面放電管内に生成されたRFP(セパラトリクスはない)において、周辺部から電極を挿入してヘリシティー入射を試みた。放電管の形状などから電極は8mmφの円筒構造、入射位置は同一ポロイダル断面内に制限されている。電極間電圧を400Vまで印加し、電極間電流として100A程度を得ている。最大電流密度はRFP放電の平均トロイダル電流密度と同程度である。電極近傍ではヘリシティー入射に伴うトロイダル磁束の増加(5%程度)が観測された。この磁束増加は入射ヘリシティーの極性によらない。従って、入射ヘリシティーの極性に応じてプラズマの応答が異なるのか、あるいは局所的なジュール加熱によるβ値の増加が重要なのか、のいずれかである。周辺トロイダル磁場およびポロイダル磁場にはヘリシティー入射の影響は観測されなかった。(2)トロイダル磁場に空間的な変調をかけて2分割放電管を共通に貫く磁束をつくり、これがRFP放電におよぼす影響を調べた。変調磁場が元のトロイダルバイアス磁場と逆向きの場合、RFP放電に悪影響を与える変調レベルは同極性の場合より低い。この原因の解明を進めているが、RFPの異常放電抵抗の機構と関連する可能性がある。(3)低電流ULQ放電において、本研究で提案している方法を基づいてヘリシティー入射を行った。放電管ギャップ近傍の局所的な測定では最大20%程度のトロイダル電流の増加が観測された。この基礎実験に続いてギャップ部分に局所的シェルを取り付けて誤差磁場を減らし、特性が改善されたRFPプラズマにおいて同様の実験を進めている。