著者
細谷 憲政 飯豊 紀子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.83-86, 1969-03-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
12

白ネズミを用いXy投与の影響を, 体重の増加, 生殖状況, 肝XDH活性について観察した。1. 含飼中Xyを10%以上に投与すると下痢を起こすが, 毎週5%ずつXyの含存を増大して20%にし, さらに20% Xy飼料を用いて4カ月飼育しても白ネズミの体重増加曲線は無添加群とほとんど差異がみられなかった。2. 白ネズミにXyを増大して投与するとある許容量限界で下痢症状を呈するが, 速やかに適応し, さらに肝細胞質のXDH (NAD) 活性も誘導される。3. 交配時ならびに妊娠時にXyに適応させても出産に影響はみられず, また仔白ネズミの発育にも影響はみられなかった。また仔白ネズミの食べ始めた日よりXy含有飼料にて発育した場合には親白ネズミと同様のXyによる適応現象が観察された。
著者
飯豊 紀子 森内 幸子 細谷 憲政
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.77-81, 1974-03-31 (Released:2010-02-22)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2

下痢を誘発する限界以下にマルチトールを5人の男性被検者に経口投与した場合の, 血液成分に対する影響を観察してみた。マルチトールを体重kgあたり0.5gを水100mlとともに経口投与した場合の血液成分の変動を, マルチトール無添加の場合の早朝空腹時, マルチトールを7日間連続投与した後の早朝空腹時, さらにマルチトールを30日間連続投与した後の早朝空腹時について観察した。血糖値は5人の被検者のうち3人は投与1時間後の血糖値が20%前後の上昇を示した。 この場合血液中のマルチトール量は0.66-1.52 (平均1.08mg/dl) であった。 総たん白, A/G, 血漿の各たん白画分, チモール混濁試験, 硫酸亜鉛試験, C. C. F. コレステロール, クレアチニン, 尿素窒素, 尿酸, 電解質 (ナトリウム, カリウム, カルシウム, リン, クロール) 鉄, アルカリホスハターゼ, 酸性ホスハターゼ, コリンエステラーゼ, 血清アミラーゼ, GOT, GPT, 乳酸脱水素酵素, ロイシンアミノペプチダーゼを観察したが, マルチトールの投与による影響は観察されなかった。それゆえ, 下痢を誘発する限界量以下に正常人に経口投与した場合には血漿成分になんら影響を示さないものと考えられる。