著者
今井 正武 平野 進 饗場 美恵子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.1105-1112, 1983 (Released:2008-11-21)
参考文献数
12
被引用文献数
8 7

野菜を漬けた糠床Tと対照床Cにおいて, 120日間熟成し微生物叢と成分の変化を追跡した.成分的変化としては,糖は30日までにほとんど消費され酸に変化した.脂質は増加し,ホルモルN,揮発性塩基性NはT床において60日間で急激に増加した.菌叢の変化としては初めEnterobacterを中心とするグラム陰性菌が優勢であったが, 30日以内にLactobacillus plantarum, Pediococcus pentosaceus, Pec. halophilusが菌叢の大部分を占めた.熟成が進むにつれ, T床では酵母,乳酸菌以外のグラム陽性菌,そしてProteus mirabilis, Klebsiella pneumoniae類縁菌を中心とするグラム陰性菌が多数検出され,それらのバランスが熟成臭に重要な影響を持つと思われた. 糠床中の食塩濃度は酸の生成やグラム陰性菌等の生育に密接な関係を持ち,酸や揮発性塩基性物質等のフレーバーに影響する重要な役割を持っていると考えられる.