著者
高橋 信行 香月 収
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.4, pp.486-493, 1981-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
37
被引用文献数
4

水処理の観点に立ってオゾンの水溶液中での特性を把握するため,溶解度,自己分解反応および物質移動におよ峰す温度およびpHの影響を温度286.5~298.OK,PH3.1~9.0の問で検討した。送入オゾン濃度と平衡オゾン濃度の問には比例関係が成立し,その比例定数(見かけの分配係数)は温度およびpHが高くなるにつれて減少した。自己分解反応を1.0次から2.0次の間で検討したところ,1.0次反応と仮定した場合にもっとも良好に実験データを説明することができ,その分解速度定数は温度およびpHが高くなるにつれで増大し,中性からアル力リ性にかけてその傾向はとくに顕著であった。総括物質移動係数は温度およびpHのほかに送気量によっても影響を受け,気泡相互の干渉により送気量が増加するほど減少し,拡散係数の増加により温度が高くなるほど増加し,またpHが低くなるにつれ増加した。真の分配係数およびHenry定数はオゾンの自己分解を考慮に入れ見かけの分配係数から計算することができ,これらの値は従来示されてきた値と良好な一致を示すことがわかった。