著者
山根 靖弘 坂井 和男 香月 秀雄 岡本 達也
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.141-147, 1978-06-25

4-ニトロキノリン1-オキシド(4-NQO)のマウス肺癌発生におよぼすタバコタール中性分画の影響を検討したところ, 発癌促進効果をみとめた。そこで, タバコタール中性分画のマウスにおける4-NQO代謝への影響をしらべると, 肺で4-NQO還元酵素活性の顕著な上昇効果がとくに見い出された。したがって, タバコタール中性分画は, 4-NQO代謝活性に影響を与え, 4-NQOのマウス肺癌誘発を促進させるものと推定した。
著者
里村 洋一 岡本 達也 半沢 傭 山口 豊 林 豊 香月 秀雄
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, 1973-12-25
被引用文献数
1

症例は45才の男性で,26年前左肺結核症の診断で13回の人工気胸術を受けた.この時胸膜炎を併発したが,3年間の療養後社会復帰した.23年を経て血疾と背部痛を訴えるようになり入院した.左背側の陳旧化した膿胸であると診断して開胸し,肥厚硬化した胸膜をその内容の壊死物質と共に摘出した.この胸膜の一部に組織学的に血管芽腫の像が認められた.術後小量の出血,背部痛が持統し,2ヵ月後に同側の胸壁に腫瘤が出現し,生検で悪性腫瘍と診断された。摘出胸膜を再検すると,壁側胸膜の一・部に,血管腫性の変化と共に,異形性強く,核分裂像を示す部分が認められ,血管肉腫と診断した.膿胸と血管腫が合併して永い経過の後,悪性化して臨床症状を呈してきたと想像される.