著者
森 健治 森 達夫 郷司 彩 伊藤 弘道 東田 好広 藤井 笑子 宮崎 雅仁 原田 雅史 香美 祥二
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.281-286, 2014 (Released:2014-12-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

【目的】近赤外線スペクトロスコピー (NIRS) を用い, 顔表情の模倣課題を施行中の前頭葉活動について, 自閉症と定型発達の小児例で比較検討する. 【方法】対象は定型発達の男児10例, 知的障害を有さない自閉性障害の男児10例. NIRS測定のため左右前頭部にそれぞれ17チャンネルのプローブを装着した. 【結果】自閉症群において初回検査時, 両側下前頭回弁蓋部 (Broca野) での酸素化ヘモグロビン (oxy-Hb) 濃度の上昇は, 定型発達児に比べ有意に低かったが, 同じ課題を複数回練習してから, 再度, NIRSを施行したところ, 同部でoxy-Hb濃度の有意な上昇が認められた. 自閉症群におけるoxy-Hb濃度の変化量と感情ラベリング成績の間には正の相関関係が認められた. 【結論】自閉症においても模倣運動を繰り返すことによりミラーニューロンを賦活できる可能性が示唆された.
著者
立花 綾香 加地 剛 七條 あつ子 高橋 洋平 中山 聡一朗 中川 竜二 前田 和寿 早渕 康信 香美 祥二 苛原 稔
出版者
日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.155-159, 2016-05

純型肺動脈閉鎖(pulmonary atresia with intact ventricular septum:以下PAIVS)の治療方針の決定には右室の大きさ,肺動脈の閉鎖様式に加え,冠動脈が右室内腔と繋がる異常交通(類洞交通)の有無や程度が重要とされる.今回胎児期に類洞交通を評価できたPAIVSの一例を経験したので報告する.超音波検査にて胎児の右室が小さいことを指摘され妊娠23週に紹介となった.初診時の超音波検査にてPAIVSと診断した.また右室心尖部に心筋を貫通する両方向性血流を認め,類洞交通の存在が疑われた.その後冠動脈を起始部から系統的に描出することで,左冠動脈前下行枝からの大きな類洞交通であることを確認した.右室が高度の低形成でかつ大きな類洞交通があることから単心室修復が必要となることが予想された.児は出生後,心臓超音波検査,心臓血管造影にて同様の診断がなされ,単心室修復に至った.胎児超音波で冠動脈を起始部から系統的に観察することで,類洞交通の評価が可能となりそれにより,出生前から治療方針の検討ができ,家族への説明に有用であった.