- 著者
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馬場 國昭
徳田 リツ子
馬場 淳徳
- 出版者
- 一般社団法人 日本熱傷学会
- 雑誌
- 熱傷 (ISSN:0285113X)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.1, pp.21-32, 2020-03-25 (Released:2020-03-25)
- 参考文献数
- 16
初診日が1993年4月1日から2019年3月31日にある26年間の熱傷患者50,376例を統計解析した. 2018年の第44回日本熱傷学会総会・学術集会では25年間の症例の集計をした. その後の1年間の症例を加え5万余例になったので, 本稿では26年間の熱傷症例の集計とした. 内訳は男性17,437例, 女性32,939例, 男女比0.53であった. 最も多い受傷年代は10歳未満の15,936例 (熱傷全体の31.6%) であり, 同年代の男女比は0.98で男女差がない. 熱傷の受傷原因は熱性液体が24,105例 (47.9%), 接触17,656例 (35.0%), 火炎3,784例 (7.5%), 蒸気2,679例 (5.3%) であった. これらの四大原因で熱傷全体の95.7%を占めた. 最多の原因である熱性液体による熱傷24,105例のうち熱湯によるものは10,581例, 熱油6,023例, 茶・コーヒー2,084例, みそ汁1,439例であった. 接触熱傷のうち最多の原因はストーブなどの暖房器具による5,211例, ついでアイロンの2,258例であり, 火炎熱傷では花火によるものが多く1,070例, 蒸気熱傷では炊飯器の蒸気によるものが多く608例あった. 26年間の症例を年度ごとにみると, 集計初年度の1993年度は2,690例あったのが最終年度の2018年度では1,245例 (集計初年度の46.3%) と半数以下になった. この推移から多数例の集計に加えて, この間の変動をみることが重要であると考え, 26年間を前期と後期の2期に分け熱傷患者数のさらなる統計分析をした. 前期の症例数は29,836例, 後期は20,540例 (前期の68.8%) であり, 男女別では男性の後期症例数は前期の60.2%, 女性は73.8%であり男性の減少率が大きかった. 原因別では火炎 (50.2%) と爆発 (37.5%) による熱傷の減少率が大きかった. ストーブによる熱傷では後期は前期の44.0%になっていた. 逆に増加した受傷原因はヘアーアイロンによる熱傷が1,100%で, 約10倍になっていた.