- 著者
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馬場 星吾
寺尾 純二
- 出版者
- 公益社団法人 日本油化学会
- 雑誌
- オレオサイエンス (ISSN:13458949)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.7, pp.271-277,270, 2004-07-01 (Released:2013-06-01)
- 参考文献数
- 46
- 被引用文献数
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1
野菜や果物などの植物性食品に含まれるポリフェノールは生活習慣病の予防に関わるフードファクターとして注目されている。ここではポリフェノールのバイオアベイラビリティーについて, とくにフラボノイド化合物であるカテキン類の生体への吸収代謝と生理活性との関連について最近の研究成果を報告する。ラットやヒトにおいて (+) -カテキンや (-) -エピカテキンは没食子酸が結合したカテキン類に比べて吸収されやすく, 血漿中では主にグルクロン酸抱合体, 硫酸抱合体, メチル化体およびそれらの複合体として存在する。ただし, ラットとヒトではその代謝物分布に相違があり, ヒトでは硫酸抱合体が相当量存在する。カテキン類の生理機能として抗酸化活性が考えられるが, 代謝物においてもカテコール構造が保持されたものは抗酸化力をもつ。また, カテキン代謝物は抗酸化活性以外にもカスパーゼ活性阻害やMAPキナーゼ不活性化による神経細胞のアポトーシス抑制作用を有することが報告された。したがって, カテキン類の機能を正しく評価するためには生体吸収率と代謝変換を考慮しなければならない。