著者
馬場 正美 洲崎 英子 平良 梢 伊藤 友里 加地 ひかり 岡田 温
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.291-299, 2020-07-25 (Released:2020-09-04)
参考文献数
26
被引用文献数
1

目的:コラーゲンペプチドが骨格筋量に影響を及ぼすかどうかを検討するため,回復期リハビリテーション病棟において,コラーゲンペプチド含有経口栄養補助食品摂取群(以下 介入群)と非摂取群(以下 コントロール群)の間に,体組成,身体計測値,Activities of Daily Living,食事摂取栄養量に違いがあるかどうかを検討した.方法:2018年6月1日~2018年8月31日までの間に骨折または脳卒中で回復期リハ病棟に入院した65歳以上の患者19名を対象とし,介入群にはコラーゲンペプチド10ℊを含有するONSを摂取させた.結果:患者の平均年齢は介入群が78.3±7.0歳,コントロール群が75.2±5.5歳,男女比は介入群が男性3名,女性7名,コントロール群が男性2名,女性7名であり,患者の在院日数は介入群が72.9±29.7日,コントロール群が69.7±15.4日であった.介入前後におけるFFMの変化量は,介入群が+0.55±1.4 kg,コントロール群が-1.67±2.2 kg,SMMの変化量は介入群が+0.29±0.8 kg,コントロール群が-0.96±1.3 kg,SMIの変化量は介入群が+0.11±0.3 kg/m2,コントロール群が-0.31±0.4 kg/m2であり,FFM,SMM,SMIのいずれの項目においてもコントロール群に比べて介入群の変化量は有意に大きかった.また,介入群のSMIは1日あたり0.002±0.03 kg/m2増加した.結論:コラーゲンペプチドの経口摂取は,回復期リハビリテーション病棟患者の骨格筋量を増加させる可能性が示唆された.