著者
馬場 祐人 筧 捷彦
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.97, 2012-03-30

日本語プログラミング言語は,変数や関数を日本語で名付け,日本語の語順でプログラムを書くプログラミング言語である.日本語でプログラムを書くことの利点は,英単語へ置き換えることなく母国語でソフトウェアを開発できることにある.プログラムを母国語で書くことで,ソフトウェア開発においても実装やデバッグ,保守に寄与することが期待される.我々は,日本語プログラミング言語"プロデル"を開発すると同時に,それを使って日本語プログラミングによるソフトウェア開発を実践している.本研究では,日本語プログラミング言語を用いてソフトウェア開発を行い,日本語表記で書かれたプログラムの可読性について評価実験を行った.その結果,日本語で書かれたプログラムは,Javaで書かれたプログラムと比較して,プログラムの理解やデバッグに要する時間が短くなる傾向があることを確認できた.本発表では,日本語プログラミング言語で書かれたプログラムの可読性について議論する.A Japanese Programming Language (JPL) is a programming language using Japanese words for identifiers, such as variables and functions, and its programs are written in a Japanese word order. The advantage of writing programs in Japanese words is to represent the program in our native language without having to replace to English words. We expect that a Japanese programming contributes to implementation, debugging and maintenance, in a large-scale software development. We developed a JPL "Produire" and has developed practical software using the JPL. In this study, we developed software using Produire and experimented to evaluate the readability of programs written in a JPL. This experiment shows that programs written in a JPL, compared to programs written in Java, tend to shorten the time required to understand and debug. In this presentation, we discuss the readability of programs written in a JPL.
著者
馬場祐人
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.343-344, 2013-03-06

日本語プログラミング言語の字句解析では,分かち書きされていないプログラム文から字句を切り出す必要がある.本来,日本語文の字句の切り出しには形態素解析が使われるが統計情報に基づく区切り方であり曖昧である.本発表では日本語プログラムの字句解析において形態素解析の基本的手法を用いた上で,プログラミング言語構文に従って形態素を切り出すことで字句解析を実現する手法について議論する.この手法によって分かち書きされていない日本語文を文法的制約によって正しく切り出せることを,処理系の実現を通じて評価し,その結果についても議論する.
著者
馬場 祐人 筧 捷彦
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2011-SE-171, no.17, pp.1-9, 2011-03-07

現在の日本におけるソフトウェア開発では母国語である日本語で仕様書を作成し,Javaに代表されるような欧米発想のプログラミング言語を使って実装している.本来日本語と欧米言語とは表現や意味にギャップがあり,そのことで仕様と実装に違いが生じている.日本語で一貫してソフトウェア開発が行えることは,有益であると考えている.我々は,日本語プログラミング言語“プロデル”を開発すると同時に,仕様書から実装まで日本語で一貫したプログラム開発を実践している.本研究では,比較的小規模なソフトウェア開発を例に,UMLを用いて設計したものを,プロデルおよびJavaでそれぞれ実装し比較した.本論文ではソフトウェアの実装を日本語で行うことによる利点や浮かび上がった問題点について報告する.