著者
馬場 重行
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.52-61, 2011-08-10 (Released:2017-05-19)

田中実氏が提示する「読むこと」の理論を基に、小説作品の〈文脈〉を読むとはいかなることか、その具体的なあり方を、川端康成の「金塊」を素材に考察したのが本稿である。その結果、戦争へと傾斜していく国家の「地下性」に潜む暴力を語り手が暴き出す「金塊」の問題点を指摘し、この作品の重要性、および教材価値について示唆することができた。