- 著者
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河村 史紀
馬場崎 勝彦
山田 明義
- 出版者
- 日本菌学会
- 雑誌
- 日本菌学会大会講演要旨集 日本菌学会50周年記念大会
- 巻号頁・発行日
- pp.160, 2006 (Released:2007-06-05)
外生菌根菌にはマツタケやホンシメジなどの優秀な食用菌が多く含まれている.これらの菌はこれまで菌根合成実験が多数報告されているが,子実体の発生まではほとんど調べられていない.また,菌根合成実験においては限られた植物-菌の組み合わせしか行われておらず,各菌種の菌根形成能をある一定の基準のもとに相対的に評価することは行われていない.本研究では,多様な外生菌根菌を用いて菌根形成能と菌根実生の順化に関する基礎データの蓄積を目的として実験を行った. 研究室保有の外生菌根菌41種64菌株,腐生菌10種11菌株を実験に供試した.宿主植物には無菌発芽させたアカマツ(Pinus densiflora)とユーカリ(Eucalyptus dives)を用いた.菌根合成実験は,セロファンを敷いた寒天培地上で行う簡易合成系と,バーミキュライトを支持体としてガラスビンで行う長期合成系を用いた.簡易合成系で75,90日,長期合成系で120日間培養(20-22°C, 5000lux)を行った.その後,アカマツの長期合成系で作出した菌根苗は有機層又は無機層土壌(共に滅菌土壌)を含む500mlガラスビンへ移植して順化を試み,上記と同様の条件で6ヶ月間培養した. アカマツの簡易菌根合成系において20種27菌株で菌根が形成され,長期合成系においては31種51菌株で菌根が確認された.長期菌根合成系では高頻度で菌根の形成が見られたが,採取植生がアカマツ林であるキアブラシメジ,ヤマドリタケモドキ,シラタマタケ,ケロウジ,アカハツなどでは菌根が形成されなかった.ユーカリの長期合成系においてアシナガヌメリ,ガンタケ,オオキツネタケなどで菌根が形成された.菌根苗順化実験では供試した31種51菌株のうち,28種48菌株において菌根の順化に成功した.土壌条件間での比較では,有機層で地上部の成長が良好で,無機層で地下部の成長が良好な傾向が認められた.