著者
駒崎 雅信 出澤 正徳
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
福祉工学シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.65-68, 2003
被引用文献数
2 1

キーボードやマウスといった従来の情報システムの入力あるいはインタフェース機器は, 高齢者および障害を持つ人々にとっては決して扱い易いものとは言えない。それらは逆に情報システムと彼等との間で心理的・物理的に高い障壁となってしまっていることが多い。本研究は, 高齢者や特定の障害を持つ人々にとって他の入力機器よりも遥かに使い易い, タッチモニタ用のソフトウェアキーボードを設計するためのガイドラインの確立を目指すものである。そこで最初に, ユーザ年齢と性別によるタッチモニタ上におけるポインティング動作の動的特性への影響を調べた。主な結果は次の通りである : 1.被験者がタッチモニタ上の比較的近距離による2つの目標の間をポイントする動作を繰り返した時, フィッツの法則(MT=αlog_2D/S+β)はあまり適合せず, むしろ移動時間(MT)は大きさ(S)に対する目標間距離(D)の比率にリニアに増加した(すなわち, MT=αD/S+β)。2.係数αは被験者のうちの高齢者グループと若年者グループでほとんど差が無かった。一方, 切片βはこの2つのグループ間で明らかに差が有った。3.係数α男性よりも女性の方が大きい値となった。さらに, 困難指数(D/S)が小さいとき, 移動時間(MT)はほぼ同じか女性の方が短く, 一方困難指数が大きくなると男性の方が短くなった。