著者
臼田 裕 出澤 正徳
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.27, no.23, pp.21-24, 2003-03-20

人間が,情報システムを使用する場合,何を行いたいのかその目的と意図を情報システムに的確に入力・指示する必要がある.一方,情報システムは入力・指示された情報から人間の目的と意図を誤りなく推測し,それに応じた操作,処理を行い,その結果を人間に理解しやすい形態で提示する必要がある.この人間と情報システム間の柔軟かつ円滑なコミュニケーション方法として,今回,情報システムにおける図形コードを用いた紙インターフェイスを提案する.
著者
駒崎 雅信 出澤 正徳
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
福祉工学シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.65-68, 2003
被引用文献数
2 1

キーボードやマウスといった従来の情報システムの入力あるいはインタフェース機器は, 高齢者および障害を持つ人々にとっては決して扱い易いものとは言えない。それらは逆に情報システムと彼等との間で心理的・物理的に高い障壁となってしまっていることが多い。本研究は, 高齢者や特定の障害を持つ人々にとって他の入力機器よりも遥かに使い易い, タッチモニタ用のソフトウェアキーボードを設計するためのガイドラインの確立を目指すものである。そこで最初に, ユーザ年齢と性別によるタッチモニタ上におけるポインティング動作の動的特性への影響を調べた。主な結果は次の通りである : 1.被験者がタッチモニタ上の比較的近距離による2つの目標の間をポイントする動作を繰り返した時, フィッツの法則(MT=αlog_2D/S+β)はあまり適合せず, むしろ移動時間(MT)は大きさ(S)に対する目標間距離(D)の比率にリニアに増加した(すなわち, MT=αD/S+β)。2.係数αは被験者のうちの高齢者グループと若年者グループでほとんど差が無かった。一方, 切片βはこの2つのグループ間で明らかに差が有った。3.係数α男性よりも女性の方が大きい値となった。さらに, 困難指数(D/S)が小さいとき, 移動時間(MT)はほぼ同じか女性の方が短く, 一方困難指数が大きくなると男性の方が短くなった。
著者
出澤 正徳 施 衛富
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究の最終目標は、錯視現象を心理学的プローブとして、人間の視覚システムの3次元空間知覚メカニズムを探り、その数理的モデルを構成し、視覚メカニズムの解明に貢献することである。特に、視覚刺激が運動する場合についての新しい錯視現象を探索し、従来には全く予想できなかった新しい現象が見出された。相関をもって運動する複数物体が群としての運動と群内での相対運動として知覚される現象が見出され、剛体条件や軌道条件等、脳内の表現をより単純化する表現単純化原理の作用を推測させる。また、両眼立体視において斑点状視覚刺激を運動させたとき、静止時には全く知覚できない視覚刺激の運動とは異なった表面構造の運動(構成的運動)が知覚される現象が見出された。新たに見出されたパントマイム効果では3種類(全面支持、背面支持、側面支持)の手がかりが考えられ、体積的な透明知覚に側面支持手がかりが不可欠であること、また、従来の多層ランダムドットステレオグラムにおける透明視とは本質的に異なるものであることが確かめられた。さらに、視覚刺激を、互いに異なる複数の構造間を遷移するように運動させたときに錯視対象の分離・融合とその遷移におけるヒステリシス現象が見出され、定量的な計測によってその存在が確認された。水平方向に運動する2群のランダムドットパターンの奥行き関係が異なって知覚されるというこれまでの知見では全く説明できない現象が見出された。さらに、ランダムドットステレオグラムで両眼非対応部に存在するドットが手前側に知覚され、それが物理的に可能な配置であることが証明された。これはこの分野の研究者間で信じられていた仮説(両眼非対応領域は背景の深さに知覚される)を覆す新しい発見である。これら、本研究において新たに見出された動的錯視現象の背後には、さらに多くの未知の現象が隠されており、視覚システムにおける空間知覚メカニズムを解明において有力な手がかりとなるものと期待される。