著者
駒田 一朗 宮崎 総一郎 西山 彰子
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.41-49, 2016-03-31 (Released:2016-06-23)
参考文献数
49

睡眠時無呼吸の頻度は高齢になるほど増加する. 50歳未満では睡眠時無呼吸の死亡率が高くなるという報告がある一方, 高齢者では死亡率は高くないとする報告がある. 高齢者の睡眠時無呼吸の重症度や日中の眠気が生命予後に影響を与えるとの報告もある. 高齢者では手術加療や口腔内装置選択の適応例が少なくなるため CPAP に依存することが多いと予想される. 睡眠時無呼吸は認知障害と関連があるとの報告が近年増えており, CPAP 治療により認知機能が改善し, 脳画像での改善がみられることが報告されている. 高齢者の睡眠時無呼吸の対応にあたっては生命予後以外に認知機能改善や認知症予防の観点から対応する必要がある.