著者
小島 弘敬 高井 計弘
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.1237-1242, 1994-10-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
16
被引用文献数
4 2

咽頭, 直腸からの淋菌, C.tnchomatisの検出は, 分離培養では偽陰性, 非培養検出法では偽陽性の誤った結果を呈しやすく正診率がひくく, これまで臨床的知見の蓄積が少ない.各種の非培養検出法の咽頭, 直腸スワブを検体としての偽陽性反応の出現率を検討した.Gen-Probe Pace2®のみが他の非培養検出法と異なって, 咽頭, 直腸スワブを検体とする淋菌, C.trachomatisの検出について偽陽性が認められなかった.Gen-Probe Pace2®による淋菌生殖器感染症患者の淋菌陽性率は男子咽頭29.4%, 女子咽頭33.3%, 男子直腸0%, 女子直腸46.7%, C.tmchomatis生殖器感染症患者のC.tmckomatis陽性率は男子咽頭3.9%, 女子咽頭10.5%, 男子真腸0%, 女子直腸53.3%であった.淋菌, C.trachomatisの女子直腸炎は頚管分泌物の汚染による直腸への感染拡大と考えられ, C.trachomatisの咽頭感染合併率は淋菌に比してひくく, C.tmchomatisの咽頭感染性は淋菌よりひくいと考えられた.