著者
高原 富弘 向井 陽美
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.205-214, 2013-07-25 (Released:2013-10-25)
参考文献数
18
被引用文献数
2 4

細胞障害性薬剤に代表される抗がん剤のDDS研究において、最も有望なアプローチの1つに、従来の抗がん剤に対し製剤的な工夫を施すことで、理想的な薬物動態学的特性へと変化させる方法がある。塩酸ドキソルビシンをリポソームカプセルに封入し、メトキシポリエチレングリコールでコーティングした製剤であるドキシル®は、長時間の血液循環及び腫瘍組織への移行を促進することにより、塩酸ドキソルビシンの毒性プロファイルを改善した。本稿では、ドキシル®の開発経緯並びに再発卵巣癌における臨床データを中心に言及する。