著者
高原 智夫 柳澤 俊行 渡辺 俊典
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.2090-2103, 1994-10-15
参考文献数
19
被引用文献数
1

情報通信ネットワークは巨大かつ複雑であり、状態や構造の変動にさらされる、このため、系の特性の精密なモデル化は困難であり、対象のモデルを用いる適応制御には限界があり人知に頼らざるを得ない。また、制御の評価法も確立されているとは言えない。これらの問題を解決すべく知的通信網制御が模索されてきたが、制御規則の人手による記述が必要であるなどの問題を残している。そこで、呼の受け付け規則およびルーティング制御問題に関して、管理者が評価関数という形でネットワーク・オペレーシヨン方針を与えるのみで、これを反映した制御を自律的に実現することを意図して、事例学習機械TAMPOPOを応用した自律化ネットワーク・オペレータANATAの構想を別の諭文で報告中である。本論文ではこのANATAのシミュレーショでモデルを計築機上に実現し、様々な条件のもとで挙動を調べた緒果を報告する。ANATAは、評価関数を与えるのみで、呼を受理し課金収入を増す、長距離呼を迂回路にまわして全体の課金収入を増加させる、短距離呼を規制して長距離呼を受理して全体の利益を上げる、呼の接続率の下限を保証しつつ課金収入を最大化させる、などの能力を自律的こ獲得した。これは従来、望妻れながら実現できなかった機能であり、ANATAが大規模通信ネットワーク制御に薪たな可能性を与え得ることを示している。