著者
笠松 千夏 立山 和美 高取 幸子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成18年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.85, 2006 (Released:2006-09-07)

目的 麻婆豆腐は、ひき肉を炒め、調味料とスープ、さいの目に切った豆腐を加えて煮た後、でんぷんでとろみをつけて仕上げる調理である。加工食品として数多くの合わせ調味料も販売されており、家庭で簡単にできる中華料理の一メニューである。近年、家庭において調理済み食品や加工食品が利用される中、女子学生の調理技術の低下が懸念されている。簡便とされている加工食品を学生がどのように使用し調理を行っているかの実態を知ることを目的とした。方法 パネル(N=12)を一人ずつ調理室に呼び、中華合わせ調味料(「CookDo広東式麻婆豆腐」(味の素製))を用いて麻婆豆腐を作るよう指示し、下処理から仕上げまでの一連の動作をビデオに撮影した。フライパン内の表面温度変化はサーモトレーサ(TH7100、NEC製)にて30秒ごとに撮影し、仕上がりの豆腐、肉ソースの物性を測定した(TA-XT2i、SMS製)。比較のため、中華シェフに同様の条件で調理をお願いした。結果 女子学生は裏面の作り方説明を読みながら、丁寧に調理を行っていた。しかし下処理の段取りが悪く時間がかかり、豆腐の下ごしらえの湯通しを行ったのは12名中8名であった。また、シェフの調理時間が7分30秒であったのに対し、女子学生は平均14分で、最も調理時間が長かったものは20分かかっていた。フライパン内の温度変化はシェフが80℃以上、ほぼ一定であるのに対し、女子学生では調味料や豆腐を加える度に温度が下がり加熱が不十分な様子が観察された。そのため仕上がりの豆腐のテクスチャーがシェフ品と大きく異なり、下ごしらえを含めた豆腐の扱いが最も重要であることが示唆された。