- 著者
-
高山 啓子
- 出版者
- 川村学園女子大学
- 雑誌
- 川村学園女子大学研究紀要 (ISSN:09186050)
- 巻号頁・発行日
- vol.16, no.2, pp.79-90, 2005-03-15
観光をするという行為は,メディアを介した商品の消費である。本稿では,この商品の消費としての観光を一つの社会現象として捉え,特に観光とメディアの関係を社会学的に明らかにしていく。そのためにまず第一に,観光現象に対して社会学がどのようなアプローチをとりうるかを示す。第二に観光の商品化とその消費という側面に注目して,メディアとの関係を検討する。そのなかで記号的商品としての観光が消費されるために,メディアが非常に重要な存在であることを示す。第三に特に観光には不可欠であると思われる「場所」とメディアの関係を明らかにする。観光行動を「場所の消費」として捉えるJ. アーリの議論と,メディアのあり方が変化することによって場所に対する感覚が変化するというJ. メイロウィッツの議論を参照し,場所を経験する(消費する)ことに対してメディアが果たす役割を提示する。最後に観光に関するメディアの分析例として女性向け雑誌が観光をどのように取り扱っているかを提示する。