著者
高木 強治 小林 宏康 浪平 篤
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.226, pp.531-542, 2003-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
15

遺構「鼻ぐり井手」は, 加藤清正が新田開発のため, 慶長13年 (旦608年) に開削した延長390mの用水路である.鼻ぐり井手では, ヨナと呼ばれる阿蘇火山灰が水路底に堆積しないよう, 底部に穿孔を有する隔壁を一定の間隔で残したまま水路を開削し, 土砂の掃流力を高めたといい伝えられている.本研究では, 鼻ぐり井手の現況および過去に存在したと考えられる隔壁を模型に再現し, 水理実験によってそれらの通水機能, 掃砂機能および流れの構造を明らかにした.その結果, 鼻ぐり井手では, 連続する隔壁を通過する流れが常に噴流状態にあり, 掃砂機能が通常の開水路より格段に強化されていること, さらにこの掃砂機能に係わる流速の増加が穿孔面積を縮めることによってもたらされ, 掃砂機能と通水機能がトレードオフの関係になっていることを明らかにした.
著者
高木 強治 吉田 修一郎 足立 一日出
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.761-770, 1997-12-25
参考文献数
12

大規模水路網の流況解析において, 開水路1次元流れの数値解法にPreissmamスキームを用い, 体系的なモデル作成手法と効率的な流況解析アルゴリズムを提案した. 水路網のモデル化では, 水路を分合流点で切断して樹枝状水路と見なし, 有向グラフで表された水路にトポロジカルソートを適用し, 格子点の計算順序を定めた. 解析手法は, 掃出しアルゴリズムと低次元化された連立1次方程式によって構成され, その計算効率は, 水路網全体に対し, 閉路が占める割合と水路を切断した分合流点が少なくなるほど向上する. 大規模水路網への適用では, 疎行列のための直接解法として有力な内積形式ガウス法と比較して, 計算時間を大幅に削減できた.