著者
高木 裕宜
出版者
文京学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

今年度も研究テーマである会社文化についての資料、論文、文献等の収集、分析を行った。これらの資料から、特に会社文化のなかでも5S活動(整理・整頓・清潔・清掃・躾)について、さらに日本国内での歴史的経緯を分析し、第2次対戦後に定着していると考えられた5S活動は、工場内の衛生運動や安全運動との関連で戦前にもかなりの程度確立していたことを確認することができた。研究テーマに関連する企業に対しては、日本国内においては、昨年度に引き続き、日本本社、特に国際事業関連の業務を遂行する部署への訪問し、会社文化に関する訪問調査を行った。この中で、海外事業に関する現状や、日本本社からの派遣社員による会社文化の海外への移転がはかられていることや、海外子会社での現地採用従業員についての日本国内での教育訓練を通じた関係等によっても、会社文化の移転が行われていること等の制度や実態について把握することができた。さらに、中国の海外現地子会社へ訪問調査し、特に現地派遣社員や現地採用のマネージャークラス等に対して聞き取りを実施した。海外現地子会社では、5S活動や類似する活動の具体的実施方法、内容、評価制度等について確認し、その他には、運動会(スポーツ大会)や新年会、寮生活、食堂等への実態についての把握をつとめた。さらに、研究テーマに関連する事項として、新人教育体制から訓練、研修内容や、階層別の訓練等の教育制度、各種評価によるインセンティブ制度、QCサークル活動、表彰制度等についても調査を行った。これらの調査により、日本本社で実施されている、または、されていた会社文化が移転されていること、実施方法については、日本本社よりも「目で見える管理」を実施し、強化されていることや、チームへの管理よりも従業員個人への評価への程度が高いこと等の日本国内と異なる点について、また日本本社にはない事項が存在していることが確認された。