著者
高木 裕宜
出版者
文京学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

今年度も研究テーマである会社文化についての資料、論文、文献等の収集、分析を行った。これらの資料から、特に会社文化のなかでも5S活動(整理・整頓・清潔・清掃・躾)について、さらに日本国内での歴史的経緯を分析し、第2次対戦後に定着していると考えられた5S活動は、工場内の衛生運動や安全運動との関連で戦前にもかなりの程度確立していたことを確認することができた。研究テーマに関連する企業に対しては、日本国内においては、昨年度に引き続き、日本本社、特に国際事業関連の業務を遂行する部署への訪問し、会社文化に関する訪問調査を行った。この中で、海外事業に関する現状や、日本本社からの派遣社員による会社文化の海外への移転がはかられていることや、海外子会社での現地採用従業員についての日本国内での教育訓練を通じた関係等によっても、会社文化の移転が行われていること等の制度や実態について把握することができた。さらに、中国の海外現地子会社へ訪問調査し、特に現地派遣社員や現地採用のマネージャークラス等に対して聞き取りを実施した。海外現地子会社では、5S活動や類似する活動の具体的実施方法、内容、評価制度等について確認し、その他には、運動会(スポーツ大会)や新年会、寮生活、食堂等への実態についての把握をつとめた。さらに、研究テーマに関連する事項として、新人教育体制から訓練、研修内容や、階層別の訓練等の教育制度、各種評価によるインセンティブ制度、QCサークル活動、表彰制度等についても調査を行った。これらの調査により、日本本社で実施されている、または、されていた会社文化が移転されていること、実施方法については、日本本社よりも「目で見える管理」を実施し、強化されていることや、チームへの管理よりも従業員個人への評価への程度が高いこと等の日本国内と異なる点について、また日本本社にはない事項が存在していることが確認された。
著者
アレン 玉井 光江
出版者
文京学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

研究目的:小学生・中学生の英語のphonological awareness(音韻認識能力)と単語認識能力、およびReading能力(中学生被験者のみ)の関連性を研究し、初等教育における英語リテラシープログラムの開発に必要なデータ収集と分析。研究方法:公立および私立の小学生(1619名)と中学生(94名)のデータを収集した。各被験者は英語の音韻認識、単語認識、Reading(中学生と一部の小学6年生のみ)のテストを受け、学習動機に関するアンケートに答えた。研究成果:(1)音韻認識能力の発達研究では子どもは単語を音の大きな単位から小さな単位に分節するようになるという「Developmental Progression Hypothesis」の妥当性を日本人の幼児および児童を対象に検証した。幼児の英語のonset-rime認識能力とphoneme認識能力を測定した結果、前者の認識のほうが優れており、そこには統計的に有意な差が見つかった。仮説は実証された形となる。またもう一つの児童を対象とした研究では、共分散構造分析を使い、子どもたちはまずは、日本語のモーラ単位で英語の単語を理解し、その後その認識力で音素認識力を成長させていることが判明した。(2)音韻認識能力と単語認識能力およびReading能力の発達について(1)の研究で検証したモーラ認識能力から音素認識能力を発達させるという理論を土台に、それらの力が単語認識およびReading能力全体にどのような影響を及ぼすのか調査した。その結果、2種類の音韻認識能力は直接単語を認識する力に影響を及ぼしていることが判明した。しかしReading能力まで測定した研究においては、共分散構造分析の結果、Reading能力を予測する力は音素認識能力のみであり、モーラ認識能力は音素認識能力を予測する力にはなるが、Reading能力には直接関連しないことが判明した。
著者
下條 英子
出版者
文京学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

昨年度行った研究では、「自覚的な選好判断に先立つ眼球運動のパターンから、その直後の判断が予測できるか」という仮説をたて、健常成人の選好判断課題(強制二肢選択)遂行中の、眼球運動を計測した。その結果、ボタン押しによる選好反応に1秒弱先だって、最終的に選ぶ側への注視確率が急激に上昇していき、80-90%のレベルに達したところで自覚的判断/反応がなされる、という「視線のカスケード効果」を見いだした。視線のカスケード効果が、顔や幾何学的図形に留まらず、より現実的で人工的な刺激、たとえば商品などでも一般的に見られることを示す予備的なデータを得たので、そのことを確認する実験を本格的に行い、現在論文草稿にまとめる段階である。具体的には;(a)指輪、あるいは腕時計の写真を視覚刺激として用いた選好課題(二肢強制選択)を課したところ、従来の刺激と同等に明確な視線カスケード効果を認めた。(b)さらにより現実的な状況(たとえばインターネットショッピング)に近づけるため、一画面に四つの商品(指輪、または腕時計)が提示される四肢強制選択課題にしたところ、依然として視線のカスケード効果が見られたが、従来の80%超の視線の偏りと比較して、最大38%程度にとどまった。(c)四つの選択肢に対応する神経信号が、具体的にはどのように競争しひとつに絞り込まれるのかを知るヒントとして、新たな解析法(「視線エントロピー解析」)を適用した。これは一定の時間スロット毎にいくつの対象に視線が向かったかによって、エントロピーが定義できることと、対象数の多寡に応じてこのエントロピーの値がシステマティクに変わることを利用した解析で、我々の創案による(選好に限らず、また認知科学に限らず、他のあらゆる多肢選択の状況に適用できることに注意)。この解析の結果、多くの場合(被験者/試行)に、選択プロセスはいわゆる"winner-take-all"(勝者が他のすべてを抑制する)の形をいきなり採るのではなく、むしろ「予選-決勝型」(有力候補がふたつ残り、このふたつの間で決勝が行われる)を採ることが推定できた(この点に関する教示は、一切与えていない)。他に類例を見ない、ユニークな成果である。
著者
髙橋周
出版者
文京学院大学
雑誌
経営論集
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, 2010
著者
椿 まゆみ
出版者
文京学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

現在、今だ下準備の段階である。本研究は、前回の研究で行った実験機材を含む研究方法を修正し、よりよい改良された研究を行うための研究を行うことが目的であるが、修正の準備に戸惑っている。現在まで行ってきたことは、主に研究手法の理論と実践(手法)の研究であり、以下の5点である。第1としては、学習者は、話し合いにより協同学習をしながら語彙を学ぶのであるが、そのプロセスと成果を、学問分野としての協同学習の観点から、調査するための準備をしている。1つは、学習態度にかんする理論的背景が必要であるが、それが今で見つかっていない。第2としては、混合研究法の理論と実践(手法)の仕方の探求である。本研究の特徴の1つは、混合研究法での語彙学習の調査であり、量的・質的研究を両方行い、プロセス及び結果を分析する必要がある。混合研究法について、理論面および実践面の両方から調査している。第3としては、質的研究の手法の探求である。質的研究には、不慣れであるので、その研究について学んでいる。他分野を含めての質的研究の手法が含まれている研究について学び、自分の研究に取り入れようとしている。質的研究を行うための、ソフトウエアの使い方を学んでいる。第4点は、1から3の内容および本研究の課題である語彙研究の文献研究を行っている。語彙研究は、研究の歴史が浅い英語教育の中でも研究されている期間が短く、研究が進んでいるので、これに追いついていく必要がある。5点目は、語彙研究のための目標言語の語彙の検討を行っている。前回の研究では、検討する時間が短く、目標語彙の選択の仕方に問題があった。以上のように、ペースは遅いながらも、研究を進めている。しかしながら、このような理論面や方法面中心の着実な研究が今回は必要であると確信している。
著者
岡本 康雄 新宅 純二郎 桑田 耕太郎 玉木 欽也 周佐 喜和 ちょ 斗燮 MASUDA Kazuo SAITO Junichi CIBA Shin OKANO Yayo YANO Kumiko
出版者
文京学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

われわれは、日本製造業の競争優位を分析するに当って、エレクトロニクス産業を主要対象に選ぶこととした。何故ならこの産業は、1980年代半ばまでは、全体として高い競争優位を国際的に誇示してきたにもかかわらず、1980年代後半から90年代にかけてその優位をかなり低下させたと思われるからである。各種のデータは、その事をあきらかにしている。しかもこの様な状況をもたらした諸要因は、現在あるいは近い将来に他の産業においてもおこりうると推定されるのである。これに対し、日本企業の競争力に差をつけられていたアメリカのエレクトロニクス産業は、80年代後半から90年代にかけて国際的競争優位を復元するにいたった。これには色々な要因があるが、その主要な要因、少なくともその一つとして、エレクトロニクス産業に起こった顕著なモジュール化の動き、そしてこれにともなって生じた企業間水平分業の推進があげられる。すなわちモジュール-構成部品さらにそのサブ部品を統合するデザインルールが明示的に構築され、それが守られるならば、各企業は特定部品の開発・試作・生産に特化した開発・生産を行なうチャンスが生まれる。企業の資源がこのような特定部品の革新に集中し、競争が行なわれるならば、イノベーションの速度と水準は向上する。その一つの成功事例がインテルのMPUである。さらに多くのエレクトロニクス企業の製造活動を受託し、コスト低減を実現するEMS企業も生まれた。IBMは高付加価値半導体の生産を除くと製品開発・基本設計・サービスに専念し、製造の多くを外部に委託している。また台湾の製品設計企業と受託生産企業との柔軟な連繋システム、韓国財閥係企業にみられる戦略的投資と急速な技術力の上昇がめだっている。これに対し日本の大手エレクトニクス企業は、程度の差はあれ、部品生産を含む多分野の事業を営む、垂直統合型構造をつくりあげており、モジュール化の大きな流れと不適合状態を生み出している。またこの様な事業構造の下では、特定の事業に大規模な戦略的投資を適時に行なうことは容易ではない。それは80年代半ばまでの成功によって企業戦略の主要標的を日系企業におき、同型の戦略をいかに他社に遅れずに進めるかといった同調行動の慣性から中々抜け出せないことにもよっている。また製品寿命の短縮、開発スピード加速化、短期納入などの必要に直面しているにもかかわらず、企業組織面では、開発・設計・製造・マーケティング各機能内の連繋の弱さがめだっている。また海外事業拠点が発信している戦略的問題提起を柔軟にうけとめることができないといった、本社中心主義がめだっている。このような分析の上でわれわれは、競争優位再構築の可能性、国際経営の在り方についても一定の検討を加えた。
著者
与那覇 信恵 牛江 ゆき子 阿佐 宏一郎 棚橋 サンドラ ギルナー リア
出版者
文京学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、高い効果が確認されている語彙指導法に基づき、英語カリキュラムに連動した語を、大学生の生活実態に合った方法で学習することを可能にする語彙学習システムを開発することを目的として実施した。 本研究により、部品を用意すれば、 ダウンロードして使用できる語彙教材とテストが自動生成されるシステムと、4つの英語授業の指導内容と連動した計1680語分の語彙教材コンテンツが完成した。