著者
森 邦夫 高松 成亮 渡辺 明
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.52-60, 1989 (Released:2008-04-16)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

フッ素ゴム加硫物と金属板を一定荷重下で接触させておくと, ゴム層破壊が生じるほど高い固着強度が発生することが明らかとなった. フッ素ゴム分子の金属への吸着による初期の固着は, フッ素原子と金属表面のOH基の間で水素結合が生成した結果であると推測した. 引き続き界面で化学反応が起こり, 両者間に一次結合が生成するためゴム層の破壊が起こるほど強い固着強度が発生した. 界面の反応は加硫時に生成したフッ素ゴム主鎖の不飽和基及び側鎖の活性な官能基と金属表面のOH基の間で起こる反応を主な内容としている. したがって, 固着強度は加硫系の影響を強く受ける. 固着を防止する目的で, ブルーム法と表面処理法によるフッ素ゴム加硫物の表面改質を行った結果, 反応性シリコンと塩化白金酸のアセトン溶液で表面処理する方法が固着防止に特に有効であった. 反応性シリコンは数個のSiH基をもち, これがフッ素ゴム加硫物表面の不飽和基や活性な側鎖と反応し, 生成したシロキサンの薄膜が上記の界面反応を防止するためシリコン処理が固着防止に有効であることが明らかとなった.