著者
井上 瑞穂 高橋 亜由美 久保 加織
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.107, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】近年、生活スタイルの変化に伴って調理の簡便化が求められ、冷凍食品や総菜などが数多く販売されている。お弁当用の冷凍食品も多く、なかには自然解凍を提案する商品もあるが、解凍法による成分の違いは明らかになっていない。一方、野菜はビタミンや無機質、食物繊維の供給源として重要な食品であるが、栄養素のなかでもビタミンCは、調理中の損失が大きいことが報告されている。本研究では代表的な野菜の一つであるホウレンソウに含まれるビタミンC量の加熱と冷凍、および解凍による変化を調べた。【方法】試料には、生鮮野菜として2013年11月に岐阜県産、2013年12月と2014年4月に滋賀県産のホウレンソウを、市販冷凍食品として「ほうれん草3種のおかず」(N社製)をそれぞれ大津市内のスーパーマーケットから購入して用いた。ホウレンソウはゆでた後、醤油を添加して冷凍庫内で2週間冷凍した。解凍は電子レンジ解凍、あるいは20℃で5時間の自然解凍とした。ビタミンCはHPLCによって定量した。【結果】ホウレンソウ中の総ビタミンC量は、試料間でのばらつきが大きく、収穫時期、個体や部位による含有量の違いが大きくみられた。ホウレンソウをゆでると加熱による酸化、分解、水への溶出により総ビタミンC量は大きく減少し、醤油を添加するとさらに減少したが、冷凍による変化はあまりみられなかった。生鮮野菜から調製した冷凍品も、購入した冷凍食品もともに自然解凍よりも電子レンジ解凍の方がビタミンCの残存率が高い傾向が認められた。これは、電子レンジ解凍では内部温度の上昇により酸化酵素が失活するためと考えられ、解凍には電子レンジを用いる方が望ましいと判断した。