著者
桒田 寛子 木村 安美 石井 香代子 山口 享子 渕上 倫子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.30, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】フライパンは主に炒める、焼く調理で用いるが、近年、手間や早さ等の理由から、茹でる、揚げる調理を行う際にもフライパンを使用している家庭が増加傾向にあり、メニューに対しての調理器具の固定概念が変化しつつあると推察される。使用頻度の高いフライパンを用いて、茹でるなどの調理を行い、鍋を用いたときの調理時間、調理性などと比較し、フライパン類を活用した最適メニューの提案を行うことを目的とした。 【方法】直径26cmのフライパンと直径18cmの鍋(上下2段)を用いてカボチャの煮物を同重量調理し、破断応力を測定した。また調味後の官能評価を行った。フライパン調理に最適なメニューの開発を行い、フライパンと鍋を用いて再現し、エネルギー消費量と加熱調理時間を測定した。 【結果】フライパンと鍋を比較すると、鍋の方が軟化が遅かった。また、鍋は上段と下段で煮え方が異なり、上段の方が、またカボチャの中心部の方が軟化が遅かった。調味後の官能評価において、鍋の上下段で有意差が見られた。鍋の場合、2段に分けることで味にムラができるため、フライパンの方が味が均等に染み込んだ。フライパンは、「焼く」メニューでは鍋に対し加熱調理時間が33%早く、ガス消費量は4%削減できた。これは火力を強めに設定し短時間で調理できるためと示唆された。また、「煮る」「揚げる」「茹でる」場合、フライパンでの調理が加熱調理時間で17%早く、ガスの消費量は4%削減できた。「蒸す」「炊く」場合、ガスの消費量では鍋調理が優位であった。フライパン調理の特徴として、加熱時間が短いメニューほどフライパンの優位性は増し、調理時間が長く、かつ弱火となるメニューではフライパンの優位性が低下した。
著者
井上 瑞穂 高橋 亜由美 久保 加織
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.107, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】近年、生活スタイルの変化に伴って調理の簡便化が求められ、冷凍食品や総菜などが数多く販売されている。お弁当用の冷凍食品も多く、なかには自然解凍を提案する商品もあるが、解凍法による成分の違いは明らかになっていない。一方、野菜はビタミンや無機質、食物繊維の供給源として重要な食品であるが、栄養素のなかでもビタミンCは、調理中の損失が大きいことが報告されている。本研究では代表的な野菜の一つであるホウレンソウに含まれるビタミンC量の加熱と冷凍、および解凍による変化を調べた。【方法】試料には、生鮮野菜として2013年11月に岐阜県産、2013年12月と2014年4月に滋賀県産のホウレンソウを、市販冷凍食品として「ほうれん草3種のおかず」(N社製)をそれぞれ大津市内のスーパーマーケットから購入して用いた。ホウレンソウはゆでた後、醤油を添加して冷凍庫内で2週間冷凍した。解凍は電子レンジ解凍、あるいは20℃で5時間の自然解凍とした。ビタミンCはHPLCによって定量した。【結果】ホウレンソウ中の総ビタミンC量は、試料間でのばらつきが大きく、収穫時期、個体や部位による含有量の違いが大きくみられた。ホウレンソウをゆでると加熱による酸化、分解、水への溶出により総ビタミンC量は大きく減少し、醤油を添加するとさらに減少したが、冷凍による変化はあまりみられなかった。生鮮野菜から調製した冷凍品も、購入した冷凍食品もともに自然解凍よりも電子レンジ解凍の方がビタミンCの残存率が高い傾向が認められた。これは、電子レンジ解凍では内部温度の上昇により酸化酵素が失活するためと考えられ、解凍には電子レンジを用いる方が望ましいと判断した。
著者
森井 沙衣子 上田 眞理子 坂本 薫
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.82, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】第1報の結果より,浸漬温度が異なる米の吸水率を検討する際には,流出固形物量を加味した吸水率の検討が必要であると考えられた。そこで浸漬温度の異なる精白米の吸水曲線を明らかにする目的で,浸漬温度を変化させたときの流出固形物量を加味した吸水率を経時的に測定・算出した。 【方法】第1報と同様の試料を用い,浸漬温度は5℃,10℃,20℃,30℃,40℃,50℃とし,それぞれ5,10,20,30,40,50,60,80,120,240分間,各設定温度の水に浸漬させた。浸漬後,小型遠心分離機を用いて3,000rpmで5分間遠心脱水を行い,米と溶出固形物を含む浸漬水をそれぞれ回収し,米の吸水量から単純吸水率を求めた。また浸漬水は定温乾燥機で恒量になるまで乾燥させ,乾燥した溶出固形物重量を吸水率に加味した補正吸水率を算出した。 【結果】単純吸水率を算出した結果,短時間浸漬においては浸漬温度依存的に吸水率が増加する傾向がみられた。しかし,長時間浸漬を行った場合では,低温浸漬は温水浸漬と比較して吸水量が多くなったことから,初速吸水率は温水浸漬米が低温浸漬米の吸水率よりも高値となり,長時間浸漬では,浸漬温度が低いほど米の吸水率が大きくなることが示唆された。しかし,温水浸漬では溶出固形物が浸漬液中に多く溶出されたため,乾燥溶出固形物重量を測定し,吸水率を乗じて補正吸水率を算出し,溶出固形物の影響を考察したが,補正吸水率は単純吸水率と同じ結果が得られた。これらの結果から低温長時間浸漬米は吸水率が高くなることが明らかになった。
著者
森中 房枝 浮中 菜々子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.164, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】鹿児島では法事菓子の主役として高麗餅を使用することが多い。「これがし」とか「これもち」と呼び,小豆餡と米の粉こね合わせた蒸し菓子である。高麗餅が鹿児島に伝わったのは,慶長3年(1598年)朝鮮の役により,豊臣秀吉の命を受けて出兵した島津義弘が,李朝の陶工たちを南原(ナモン)から捕虜として連れ帰った折に一緒に伝えたとされている。鹿児島県鹿屋市笠之原地域では,この高麗餅を「シロ」と呼び,地域の玉山宮では祭事や行事の際に高麗餅「シロ」を奉納し「餅返し」の儀式を行っていた。同様に薩摩焼窯元日置市東市来町美山でも,高麗餅を作っていたという記録が残されている。鹿児島における高麗餅の歴史・文化を探る糸口にする目的で調査を行った。 【方法】鹿屋市笠之原地域玉山宮に伝わる口伝を川本家が書き留めた「玉山宮由来記」を中心に,「シロ」の作り方の再現,聞き取り調査を行った。薩摩焼14代陶工沈壽官氏からの聞き取り調査,司馬遼太郎著「故郷忘じがたく候」文藝春秋1986,南日本新聞社著「かごしまの味」春苑堂1969,全鎮植・鄭大聲編著「朝鮮料理全集―6餅・菓子・飲料」柴田書店1986から高麗餅の由来や歴史的背景を探り,「シロ」との比較を試みた。 【結果】韓国の伝統菓子「パッシルトッ」と鹿屋市笠之原の玉山宮に代々伝えられてきた高麗餅「シロ」を再現し比較してみると,類似性が多く美山の記録も同様であった。南原から連れてこられた陶工たちは串木野の島平に上陸後,東市来町美山に移り住み,一部は時を経て笠之原に移住している。ここには陶土がなく陶芸文化は廃れたが,望郷の為に「玉山宮」を建立し,高麗餅を作って「餅返し」儀式を伝えたことが推察される。
著者
我那覇 ゆりか 田原 美和 森山 克子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.166, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】沖縄は四方を海に囲まれた島嶼県であり、亜熱帯の気候風土のなかで育まれた地域の食材を用いた日常食、行事食は日本本土とは異なるものも多い。今回は、沖縄本島中南部の3地域に焦点をあてて聞き書き調査を行い、「芋」を用いた料理を中心に次世代に伝え継ぎたい家庭料理を検討した。【方法】本調査は、日本調理科学会特別研究に基づき行った。調査地域は、沖縄県中部の読谷村宇座、沖縄市登川、沖縄県南部の那覇市与儀、以上の3地域とした。読谷村2名(83、85歳)、沖縄市3名(70歳~74歳)、那覇市3名(71~78歳)を対象とし、昭和30年から40年頃までに定着した家庭料理および伝承したい家庭料理について、その料理名、食材、調理・加工法などを聞き書きした。【結果】沖縄は第二次大戦後しばらくはンム(甘藷)を主食としていた。当時は、シンメー鍋(大きな鍋)で大量に水煮・蒸煮し、スクガラス(アイゴの稚魚)の塩漬けや味噌汁、豆腐汁などの少ないおかずとたくさんのンムを食べた。また、ンムを季節の野菜と一緒に味噌汁に入れたり、ンムクジ(澱粉)にして保存性を高め、ンムクジを用いた料理を作り日常的に食した。ターンム(田芋)は高級食材であり行事や御祝いの際に食べた。沖縄市では、ヤマンム(山芋)がよく採れたため、塩茹でにしたり、スーチカー(塩漬け豚肉)と炒めて食べた。今回、聞き書き調査を行った読谷村宇座、沖縄市登川、那覇市与儀で共通に伝承したい芋料理はンムクジブットゥルー、田芋でんがく、ドゥルワカシー等であった。
著者
荒田 玲子 渡辺 敦子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.42, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】日本調理科学会・平成24~25年度特別研究における聞き書き調査の中で、茨城県石岡市とその周辺地域における昭和20~30年代の食生活の様子、その地域で作られた食材、当時の物流の中で入手可能な食材による料理に注目して、石岡地域の食生活の特徴【目的】平成24~25年度日本調理科学会特別研究における聞き書き調査の中で、茨城県石岡市とその周辺地域における昭和20~30年代の食生活の様子、その地域で作られた食材、当時の物流の中で入手可能な食材による料理に注目して、石岡地域の食生活の特徴を知ることを目的とする。【方法】旧石岡市と八郷地区の食生活改善普及員を対象とし、複数回の直接面談法により調査を行う。調査の前に予め、「当時の食生活の様子」、「次世代に伝えたい家庭料理と地域を代表する行事食・日常食」、「地域の行事食とその料理にまつわる思い出や蘊蓄」についてのアンケートを自由記述形式にて行い、回答内容に従って面談する方法をとった。調査者は、石岡市内に35年以上居住する、59~75歳の女性(食生活改善普及員石岡地区役員)9名とした。【結果】特徴的食材・料理としては、貝地の高菜栽培と高菜漬、地域の店で現在も入手できる海藻用羹を使用した「海藻羊羹」、正月などハレの日に作られる「矢羽の羊羹」、「ばらっぱもち」、「たがねもち」などの餅類があげられた。栃木や茨城県西部の郷土食「すみつかれ」と同名の「酢みつかれ」は、鮭頭は入らないが、大豆や石岡産の落花生が入り、大根は鬼おろしでおろして作られる酢の物であった。正月の「昆布巻き」は、霞ヶ浦に近いこともあり、鮒やワカサギなどの淡水魚を昆布で巻いて作られていた。山間の八郷地区と平野の広がる石岡地区、近くに河川や霞ヶ浦を臨み、山や川や大地の恵みを利用した食生活が営まれていたことがわかった。。
著者
松本 茜 淺井 智子 石橋 ちなみ 杉山 寿美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.65, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】食肉加工品への食塩添加はミオシンの可溶化,ゲル形成能,そしてテクスチャーに大きく影響する。しかし,ソーセージ等とは異なり,低い食塩添加量であるハンバーグにおける食塩の役割は明らかではない。一方,近年,食事の食塩量を減少すること推奨されているが,食塩の有する調理特性を考慮しなければ,嗜好性を損なうこととなる。我々はこれまでに,牛ひき肉と玉ねぎのみのハンバーグにおいて,食塩量の減少がテクスチャーを変化させ,嗜好性を低下させることを明らかとした。本報告では,パン粉の配合が食塩量を減少させたハンバーグのテクスチャーへ及ぼす影響について報告する。【方法】牛ひき肉250gに肉重量の0%,0.5%,0.8%,1.0%のNaClを加え,フードプロセッサーで30秒間混捏した。その後,炒め玉ねぎ37.5gおよびパン粉25gを水25gで湿らせて加えて,さらに30秒間混捏した。セルクル(Ø70mm)で50gずつ成型後,220℃で8分間の加熱を行った。調製したハンバーグの静的粘弾性測定(テクスチャーアナライザーEZ-S,島津),走査電子顕微鏡観察(JSM-5800LM,JEOL),官能評価を行った。【結果】静的粘弾性測定の結果, NaCl濃度に関わらず,パン粉の添加によって硬さは著しく低下した。凝集性はパン粉の添加によって,NaClを添加していない場合に低くなった。官能評価の結果,NaCl濃度に関わらず,パン粉の添加によって軟らかく,脆く,もそもそしたテクスチャーが感じにくいと評価されたが,NaClを加えていないものの総合評価は低かった。走査電子顕微鏡観察では,これらの結果を裏付ける組織構造が観察された。これらのことから,低濃度の食塩添加量であっても,パン粉の配合により,テクスチャーが改善され,嗜好性が向上することが明らかとなった。
著者
坂本 千秋 会田 知菜津 伊東 沙樹 寺島 香織 小林 三智子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.198, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】心理的ストレスにより苦味、酸味および甘味の感受性が低下するという報告があるが、自律神経活動との関係を述べている報告はない。そこで心理状態および自律神経活動が味覚感受性に及ぼす影響を研究するために、有用な実験プロセスを確立させる。【方法】(1)内田クレペリン精神検査(以下クレペリン検査とする)を心理的ストレス負荷の方法として用いることの妥当性、(2)味刺激が自律神経活動に及ぼす影響 以上2点を検討した。被験者は本学食物栄養学科の学生とし、測定前1時間は食事をしないよう指示した。(1)心理的ストレス負荷としてクレペリン検査による計算問題を30分間実施させ、その前後で測定を行った。ストレスマーカーには唾液アミラーゼ活性を用いて心理的ストレス負荷の妥当性を検討した。(2)味刺激として閾上濃度の5基本味溶液5mlを1分間、あるいは10mlを10秒間口に含んだ後、吐き出させた。その直後から定時的に測定を行った。測定項目は唾液アミラーゼ活性、自律神経活動および血圧とし、それぞれ酵素分析装置 唾液アミラーゼモニター、加速度脈波測定システム アルテットおよびデジタル自動血圧計 HEM-1040により測定を行った。【結果】(1)クレペリン検査実施後においてLFパワー値(交感神経および副交感神経の活動性の指標)および唾液アミラーゼ活性で有意な上昇が認められた。よってクレペリン検査は心理的ストレス負荷の方法として有用であるという知見が得られた。(2)1分間の0.65%塩化ナトリウム溶液の刺激において心拍変動係数(CVaa%)および全パワー値で時間の経過による低下がみられた。よって塩味による自律神経活動の減弱が認められた。
著者
冨岡 佳奈絵 佐藤 佳織 阿部 真弓 鈴木 惇
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.95, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】安納イモは,水分が多く粘性の食感や甘味が強いことで知られ,熟成させると糖度が上がりおいしくなる。サツマイモは,加熱によりデンプンの糖化が進み,加熱方法の違いが味覚に影響を強く与える。異なる加熱方法で調理した安納イモの糊化デンプンの性状の違いをみるために組織化学的方法により調べた。【方法】サツマイモ(安納イモ、ベニアズマ)を3cm厚の輪切りにし,茹で,蒸し,オーブン(140℃と200℃)および電子レンジで加熱した。加熱した試料を室温に下げてから,ドライアイス・アセトンで急速に凍結し,コールドミクロトームで薄切(厚さ:16μm)した。薄切した切片をヨウ素液および過ヨウ素酸・シッフ液で染色して糊化デンプンの性状を観察した。【結果】安納イモの内部では,糊化デンプンで満たされたデンプン貯蔵細胞が少なかった。糊化デンプンで満たされたデンプン貯蔵細胞は,茹で,蒸しおよびオーブン200℃,オーブン140℃の順に少なかった。ヨウ素染色による糊化デンプンの色調は,茹でと蒸しでは褐色から青色を呈し,オーブン200℃ではほとんどが褐色であった。オーブン140℃では,糊化デンプンは褐色を呈し,貯蔵細胞を完全に満たすことはなかった。電子レンジでは,糊化デンプンが青色に染まり,多くのデンプン貯蔵細胞を満たしていた。オーブンで加熱したものの甘味が他のよりも強かった。ベニアズマでは,加熱方法の違いにより色調の差異があり,糊化デンプンで満たされたデンプン貯蔵細胞が多かった。安納イモは,ベニアズマより非常に甘かった。糊化デンプンの性状の違いが,甘さの違いと関連すると考える。
著者
森髙 初惠 小林 誠 卯川 裕一 提坂 裕子 不破 眞佐子 佐川 敦子 小野 高裕
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.191, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】食塊の粘性率や密度などの物理的性質は、口腔から胃への安全な食塊の移送に影響を与えるため、嚥下機能低下者の安全な嚥下のためには重要である。水溶性あるいは不溶性の食物繊維は添加する食品のレオロジー特性やテクスチャー特性を変化させるため、安全な嚥下を確保するために他の食品と共に用いられている。本報告では、野菜ジュースの嚥下時の舌と硬口蓋の接触様相に及ぼすニンジンピューレの影響について検討した。【方法】ニンジン搾汁とリンゴ搾汁の同量混合ジュースにおいて、ニンジン搾汁部分を加熱後粉砕したニンジンピューレで0~30%置換して試料とした。被験者は21~23歳の女子学生20名とし、硬口蓋に5個の感圧点を配列した極薄型センサシートを貼付した。感圧点の位置は、硬口蓋正中部前方部・中央部・後方部と2点の硬口蓋後方周辺部とした。野菜ジュースの嚥下時の接触開始時間、ピーク出現時間、舌と硬口蓋の接触最大圧などを求めた。【結果】舌と硬口蓋の接触開始は硬口蓋正中部前方部が最も早く、次いで硬口蓋正中部中央部であり、硬口蓋正中部後方部および後方周辺部が最も遅く、この傾向は20%および30%ジュースで明確であった。舌と硬口蓋の最大接触圧の出現時間は、舌と硬口蓋の接触開始の順位と同じ傾向であった。硬口蓋正中部後方部および硬口蓋後方周辺部においては、30%ニンジンピューレ添加野菜ジュースの最大接触圧は0%ニンジンピューレ添加野菜ジュースよりも有意に大きかった。すべてのチャンネルの平均最大接触圧は、30%ニンジンピューレ添加野菜ジュースで最も大きく、次いで10%と20%ニンジンピューレ添加野菜ジュースであり、0%ニンジンピューレ添加野菜ジュースでは最も小さかった。
著者
金城 みなみ 佐藤 瑶子 香西 みどり
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.74, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】煮物調理のおいしさを決定する上で味付けの状態は重要な要因であり、品質一定の調理品を得るには調味料成分の拡散過程の予測が必要である。本研究では調味の中でも甘味と塩味に着目し、両者の変化を同時にシミュレーションすることで実際の加熱調理における両者の関係を把握することとし、予測に必要なショ糖の拡散係数の測定も行った。 【方法】20、50、70℃の0.15 M(5.13%)ショ糖溶液に浸漬した2cm角ダイコンのショ糖濃度の経時変化をフェノール硫酸法により測定した値を用い、三次元拡散方程式に基づくプログラム計算より各温度における拡散係数を求めた。試料を1mm3の体積要素の集合体とみなし、試料中の各体積要素のショ糖濃度を得られた拡散係数を用いて予測し、全ての体積要素の平均値を試料全体平均ショ糖濃度の予測値とした。2cm角ダイコンを0.15Mショ糖水溶液で室温から99.5℃で1時間加熱後のショ糖濃度の予測値と実測値を比較した。ショ糖及び食塩1)の拡散係数を用い、20種以上の料理書等のレシピを参考にし、実際の調理におけるダイコン中のショ糖及び食塩の拡散過程を予測した。 【結果】ダイコン中のショ糖の拡散係数は、20℃:0.38×10-5 cm2/s、50℃:0.73×10-5 cm2/s、70℃:1.48×10-5 cm2/sであり、それらの温度依存性をアレニウスの式で表した。温度変化を伴う調理におけるショ糖濃度の経時変化の予測値と実測値は概ね一致した。料理書等の煮物調理における調理過程をシミュレーションした結果、調味液中のショ糖濃度が4~6%、食塩濃度が1~5%の時、ダイコン中の食塩濃度は0.6±0.1%とほぼ適度であり、この時のショ糖濃度は2~4%であった。 1)遠藤ら,日調科誌,46,8-14(2013)
著者
山内 知子 阪野 朋子 小出 あつみ 間宮 貴代子 松本 貴志子 勝崎 裕隆 今井 邦雄
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.15, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】愛知の地元野菜であるアシタバに着目し,生活習慣病予防を目指した機能性パンの開発を試みた。試料のアシタバの構成成分の分析と粉末アシタバ置換量が製パンの機能性亢進に与える効果について,製パン中のポリフェノール量及び抗酸化活性の変化を明らかにした。【方法】】アシタバは,2012年11月に稲沢市の栽培農家から購入し,凍結乾燥(-80℃)し粉末(250μm)にした。強力粉重量400gの内、1%(4g)、3%(12g)、5%(20g)をアシタバ乾燥粉末で置換してパンを作成し、試料とした。対照としてアシタバ無置換パンを作成した。パンの材料配合は置換したアシタバ以外は、使用したホームベーカリーに示される方法で焼成した。アシタバ成分の構造はLC-MSとNMRで分析し,ポリフェノール量はFolin Denis法,抗酸化活性はDPPHラジカル捕捉活性測定法を用いて測定した。データは多重比較法によりTukey-Kramer法で解析し,統計的有意水準は1%とした。【結果】成分分析の結果,今回実験に使用したアシタバの主要成分の一つがChlorogenic acidであることを明らかにでき, Quercetin やkaempferol の配糖体が含まれていることも示唆できた。アシタバ置換パンにおいて,ポリフェノール量・DPPHラジカル捕捉活性能は対照パンと比較して,両者ともにアシタバの置換量増加に伴い有意(p<0.01)に増加する傾向を認めた。日常的に食するパンの強力粉の一部をアシタバに置換することにより、効率的に機能性成分を摂取できる可能性が示唆された。今後,より生理活性の高まるアシタバを用いた調理・加工法について検討していきたい。
著者
村田 絵美 志方 万莉奈 岡田 真実 佐橋 磨衣子 横山 実香 小西 洋太郎
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.14, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】本研究は,玄米の発芽過程で生じる内因性酵素や機能性成分を利用し,製パン性(品質と機能性)を向上させる最適条件について検討した.【方法】強力粉100%パン(コントロール)および10%発芽玄米粉(2012年産コシヒカリを0,1,2,5日間発芽)を添加した計5種類のパンを,Panasonic SD-BMS104ホームベーカリー(約2時間のShort Course, SCおよび4時間のLong Course, LC)で焼成した.パン材料,発酵生地,焼成後のパンについて,還元糖量(BCA法),総遊離アミノ酸量(TNBS法),フィチン酸量(Wade法),GABA量(酵素法)を測定した.またパンのクラムについては卓上型物性測定機TPU-2CLを用いて硬さと凝集性を測定した.【結果】(1)発芽玄米の還元糖量は発芽2日目までは減少し,3日目以降は増加した.総遊離アミノ酸量とGABA量は,発芽日数を長いほど増加する傾向にあった.フィチン酸量は発芽3日目までは増加したが,その後減少した.(2)製パン工程において,還元糖量,総遊離アミノ酸量,GABA量はいずれも,発酵生地の段階で有意に増加し,パン焼成により減少した(しかし材料中の含量よりは高い).フィチン酸量は材料,発酵生地,パンの順に減少した.(3)SC, LCにかかわらず,焼成後のパンの比容積はコントロールと差はなかった(4~5 ml/g).SC, LCにかかわらず,発芽日数の長い発芽玄米を使ったパンほど,柔らかくなる傾向にあり,5日発芽パンが最も柔らかかった.発芽玄米パンの凝集性はいずれもコントロールよりも低かったが,発芽玄米パン同士で比較すると1,2日発芽玄米パンにおいて高かった.
著者
淺井 智子 杉山 寿美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.20, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】乳化特性を有する卵は油脂を配合しやすく,その加熱ゲルは特有のテクスチャーとなる。我々は,これまでに,乳脂肪クリームを配合したオムレツは脆弱な,菜種油を配合したオムレツはしなるような硬さ(軟らかさ)テクスチャーとなることを確認している。本報告では,これら特有のテクスチャーへの配合油脂の影響について,冷却遠心分離による脂質分画等によって検討した。【方法】オムレツは,卵液(卵黄35gと卵白65g)に,「乳脂肪クリーム30ml」,「菜種油18ml+水12ml」,「水30ml」のいずれかを加え,200℃で攪拌加熱して調製した。分析には,加熱前(10℃)および加熱過程(65℃,75℃),加熱後(80℃)の試料を用いた。試料をストレーナーに通した後,冷却遠心分離による脂質分画を行った。得られた3画分からBligh&Dyer法で脂質抽出を行い,脂肪量,リン脂質中リン量を測定した。また,SDS-PAGEは,Laemmliの方法で行った。【結果】冷却遠心分離による脂質分画の結果,卵黄脂肪は加熱前には中層に,その後は下層に多く分画され,乳脂肪クリームは加熱前後ともに上層に分画された。菜種油を配合したオムレツは,卵黄単独の場合と同様に,加熱後に,下層の脂肪量が多くなり,上層にも多く分画された。乳脂肪クリームを配合したオムレツは,加熱前においても下層の脂肪量が多く,加熱後も上層の脂肪量は少なかった。このことから,加熱により菜種油や乳脂肪クリームが卵たんぱく質に抱合され,乳脂肪クリームでその程度が大きいことが推察された。このことは,脂肪酸組成等の結果からも確認された。SDS-PAGEからは,乳脂肪クリームを配合したオムレツではオボアルブミンの加熱変性の程度が低いことが示唆された。
著者
磯部 由香 平島 円 堀 光代 長野 宏子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.4, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】調理の重要な操作として「切り方」が挙げられる。本研究では,大学の調理実習で「切り方」の扱うための知見を得ることを目的とし,大学生と専門学校新入生の「切り方」の知識とその操作を行う自信度について分析し,学生の調理技術について検討した。 【方法】2010~2013年に大学・短大・専門学校に入学した学生1,149名に対し,20種類の「切り方」の知識とその自信度についてアンケート調査した。それぞれの項目について「できる」「ほぼできる」「少しできる」「たぶんできる」「できない」「知らない」から選択回答させた。その結果から20種類の切り方をクラスター分析により分類した。 【結果】学生が「知っている」切り方は「リンゴの皮むき」「みじん切り」「ジャガイモの皮むき」の順で多かった。しかし,学生が「できる」と回答した,すなわち自信度の高い切り方は「輪切り」「みじん切り」「いちょう切り」の順だった。「皮むき」については自信度が低かった。学生の自信度により切り方を分類したところ,自信度の高い切り方が7種類,個人差の大きい切り方5種類,自信度の低い切り方8種類と3つに分類された。自信度の高い切り方は高等学校までの教科書に多く記載されている切り方で,自信度の低い切り方は教科書にほとんど記載されていなかった。したがって,学生の調理技術を高めるためには経験することが重要であり,大学の授業で扱う必要があるとわかった。また,大学で調理実習を行う予定の学生と行わない学生に分けて切り方を自信度別に分類したが,調理実習を行う学生のほうが自信度の高い切り方が少なかった。実習を行う予定の学生のほうが調理の難しさを理解しているのではないかと推察された。
著者
角田 美紀子 野村 希代子 淺井 智子 杉山 寿美
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.9, 2014 (Released:2014-08-29)

【目的】和食の美味しさは汁や菜を白飯と組み合わせることで成立し,汁は欠かせない。一方,生活習慣病の増加により食事全体,特に汁の塩分量の減少が求められている。しかし,飯と組み合わせた時の汁の塩味の嗜好性,すなわち食事の美味しさを保つ塩味の範囲に関する検討はなく,実際の食事における「減塩」の許容範囲は明らかでない。我々は,これまでに汁と飯の食べ方や汁の具により,汁物の塩味の嗜好性が影響されることを報告している。本報告では,レモン外皮を加えた汁物の塩味の嗜好性について報告する。【方法】官能評価は,レモン外皮を加えた塩分濃度0.4-0.9%のみそ汁,すまし汁について行った。汁に白飯あるいは桜飯(0.6%塩分)を組み合わせ,「汁の次に飯を食す(汁→飯)」「飯の次に汁を食す(飯→汁)」の場合について,汁物として最も好ましい塩分濃度,汁物として許容できる塩分濃度を選択させた。【結果】レモン外皮を加えた汁の最も好ましい塩分濃度は,レモン外皮を含まない場合と比較して,みそ汁では低濃度側に,すまし汁では高濃度側に移行した。また,すまし汁では,幅広い塩分濃度の汁が許容された。飯と組み合わせて食べた場合は,すまし汁と白飯の組み合わせを除き,最も好ましい塩分濃度は低濃度側にシフトし,低濃度(0.5-0.6%)の汁を許容できるとした者が増加した。これらのことから,レモン外皮を加えた汁物では,汁単独では低い塩分濃度の汁の嗜好性が低くなる場合がある一方で,飯と組み合わせて食べた場合では低い塩分濃度の汁物が許容され,実際の食事における「減塩」へのレモン外皮の活用の可能性が示唆された。