著者
埜渡 裕義 黒田 泰男 速水 宏 岡本 一也 浴本 久雄 高橋 克俊
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.2406-2409, 1989-09-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
15
被引用文献数
14 18

Novel alkyl-1, 4-butanediamine Pt(II) complexes having a seven-membered ring structure were synthesized and characterized by fast atom bombardment mass and infrared spectra and elemental analysis. Their antitumor activities in vivo toward lymphoid leukemia L1210 and LEwis lung carcinoma LL were studied in the case where the leaving group was either dichloride or cyclobutane-1, 1-dicarboxylate. 1, 4-Butanediamine Pt(II) complexes (seven-membered ring) showed higher antitumor activities than those of ethylenediamine Pt(II)(five-membered ring) and 1, 3-propanediamine Pt(II)(six-membered ring) complexes toward L1210 for both leaving groups. Alkyl-1, 4-butanediamine Pt(II) complexes showed high antitumor activities toward L1210, except for 1, 1-dimethyl-1, 4-butanediamine Pt(II) complexes. In particular, 2, 2-dimethyl-1, 4-butanediamine and 2, 3-dimethyl-1, 4-butanediamine Pt(II) complexes exhibited excellent antitumor activities with T/C% values higher than 300. None of the dichloro Pt(II) complexes showed antitumor activities toward LL, but the cyclobutane-1, 1-dicarboxylato Pt(II) complexes, which were moderately active toward L1210 with T/C% values aroung 200, also showed high antitumor activities toward LL with T/C% values of more than 200. Alkyl-1, 4-butanediamine Pt(II) complexes with a seven-membered ring structure were found to be stable and to have antitumor activities in vivo.
著者
海老原 和雄 浴本 久雄 一町田 裕子 安部 史紀 井上 博 青柳 祥子 山下 巧 小結 明子 高橋 克俊 吉岡 修 松田 明
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.31, no.12, pp.872-885, 1978-12-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
19

1962年, 梅沢, 等1) によつて発見されたブレオマイシン (以下BLM) は, 墓礎的研究をへで, 1965年はじめて市川, 等2) によつて臨床研究がおこなわれ, 陰茎癌に著るしい効果がみいだされた。その後, BLMは過去10年間の間に, 皮膚, 頭頚部, 口腔等の扁平上皮癌, ホジキン病, 睾丸腫瘍等に単独または併用によつて, 秀れた効果を発揮し, 固型癌の化学療法の治療体系の中に, 確固たる立殿確立した。BLMの臨床的研究は, 国の内外で広くおこなわれたが, その結果, 種々の扁平上皮癌, 睾丸腫瘍等の有効疾患, 投与方法, 併用療法について, 数多くの知見が得られたが, 薬剤の安全性の面からみると, BLMは多くの他の制癌剤と異なって, 骨髄毒性, 免疫抑制を示さない特徴をもっとともに, 肺に対する毒性が注目され, 高頻度ではないが, 時に致死的な副作用ともなる肺の線維症は, BLMの臨床使用上の1つの制限因子として, 臨床家の注目を集めた。梅沢, 等は3), BLMの研究の初期において, そのマウスの生体内分布性を抗菌活性および, 放射活性の両面から詳細に検討して, 抗腫瘍性をもつ物質の生体内分布の研究によつて, それが, 臨床応用されたばあいの有効性, 毒性の標的臓器を推定しうる方法論を確立した。それは, 「物質が高濃度に分布し, 分解を受けにくいか, 活性化を受けやすい腫瘍または臓器組織には有効性または毒性を発現する」と要約される。一方, 臨床研究の進行と平行しておこなわれたBLMの化学, 生化学, 発酵工学的研究の進歩によつて, 約300種に及ぶ末端アミンを異にする誘導体がつくられた。我々は4), これらの物質を梅沢の方法論にしたがつて, 従来のBLMと比較して,(1) BLMと同じ制癌スペクトルであるが, 抗腫瘍力が強い,(2) BLMより制癌スペクトルの拡大のあるもの,(3) 生体内分布に特徴をもつ,(4) 肺毒性が減少しているもの等を目標として選択をおこなつた。第1次スクリーニングにおいては, 抗菌, 抗腫瘍性 (HeLa S3細胞培養, マウスエールリッヒ腹水および固型癌) マウスを用いる臓器分布およびマウスを用いる肺線維化能について検討した。1次スクリーニングで選抜さ物質の中には, ラットAH66, AH66F, マウスL1210移植癌について検討したものもある。2次評価においては, 特定臓器の癌への有効性を検討することを主とし, 動物移植癌では代用し得ない癌においては, 実験方法および評価の困難性, 充分な動物数を得られない等の制約があるが, 動物自然発生腫瘍および, 化学発癌腫瘍を用いて検討した。本報告においては, 上記の方法によつて選抜した硫酸ペプレオマイシン (以下NK631と略) の諸性状について, 同時におこなったBLMの成績と対比して報告する。NK631の構造は, Fig.1に示すとおりである。
著者
高橋 克俊
出版者
千葉大学
巻号頁・発行日
1987

学位:千大院薬博乙第48号